279:名無しNIPPER[saga]
2016/05/14(土) 00:46:39.10 ID:kC14h97wo
「ひどい話ですね」
「ひどい話なんだ。それからも艱難辛苦は続く。苦い水しか得られないとき、奴隷たちは『何を飲めばいいんだ』とモーゼを責めた。
モーゼは主の奇跡によって水を甘くして奴隷に与えてやった。次に食べ物がなくなると、彼らはまた恨み言を言った。
『エジプトに居たときは飽きるほど肉やパンを食べることができた。これなら元いた地で死んだ方がよかった。ここで我々を飢え死にさせるつもりか』と」
「……」
「主の奇跡は彼らに食べ物を与えた。さらに、次に水に困ったとき、奴隷たちはモーゼを殺さんばかりの勢いだった。
彼はそれでも主に祈り、奇跡によって水を用意した」
「……それは、なんというか」
「まあ、奴隷には奴隷の幸せがあったのかもしれないよな。
少なくとも、奴隷はご主人様に従って働いてれば、あたたかい食事とスープにありつけて、寝床にも困らなかった。
自由と解放を求めたばかりに、飢え、渇き、疲れ果て、追われる身の上になった……」
「わたしには、喉元過ぎて熱さを忘れてるだけに思えますけど」
「でもさ、モーゼのしたことは、余計なお世話だったのかもしれないよ」
「……どういう意味ですか?」
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