31:名無しNIPPER[saga]
2016/04/06(水) 00:38:55.16 ID:IXgA3K/jo
「きらきらだけでは、ないかもしれない。消せない曇りも、あるかもしれない。
でもそれは、きらきらしたものが、ないってことを意味するわけじゃないと思う」
だから、だからね。
「好きなものと、嫌いなもの。楽しいことと、悲しいこと。幸せと、不幸せ。
うれしいことと、いやなこと。その両方が、ただあって、起きて。
きっと、プラスマイナスの帳尻は合わなくて、どちらかに偏ったりもするけど、それでも」
それでもたしかに、うれしいことがあるから、って。
「だからどうとか、そういうわけじゃないんですよ、きっと」
るーは言う。
「そういうふうに、できてるんです、きっと。あとは、解釈と認識の問題だけ」
ねえ、タクミくん、と、彼女は俺の名前を呼ぶ。
「あなたが今いる場所は、ただ、不幸と悲嘆だけの世界ですか?」
「……」
「あなたが探していたきらきらは、どこにもありませんでしたか?」
俺は、
目を閉じて、少しだけ、いつものように考えて、
笑った。
396Res/275.74 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。