350:名無しNIPPER[saga]
2016/05/17(火) 23:40:37.39 ID:Fxr7uh8Eo
◇
バーベキューの翌日には部活があった。
部室に最初にいたのは部長だけで、他のメンバーがそろうまでかなりの時間がかかった。
「みんな、休み明けに部誌出すって覚えてるのかなあ」
部長はなんとも不満げだった。
「覚えてますよ、たぶん」
「そっかなあ」
「部長は、書いてるんですか?」
「うん。なかなか好調だよ」
ちょっと前まで、なんだか落ち込んでいるように見えたのに、今の部長は楽しそうに見えた。
「いろいろ考えることもあるけど、わたしはやっぱり、自分が今書いているものが好きだからね」
彼女はそういって笑う。
「たとえ誰かが望んでるものと違っても、わたしはわたしが書いてるものが好きだから」
それから彼女は俺の目を見て、
「タクミくんは?」と訊いてきた。
俺は少し考えてから、答えた。
「書きますよ」
「どんなの?」
「猫の話かな」
「いつもどおりだね」
いつもどおりだ。
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