354:名無しNIPPER[saga]
2016/05/17(火) 23:42:53.34 ID:Fxr7uh8Eo
◇
ある日、部活の前にふと思い立って、東校舎の屋上へと向かった。
そっけないリノリウムの階段を昇った先の鉄扉は、やはり閉ざされたままだ。
それはそうだ、と思って階段を降りていると、踊り場の窓から、校舎裏にひとりの女子生徒の姿を見つけた。
その姿が何かとダブって見えて、俺は慌ててそこに向かった。
階段を駆け下りて、一階の渡り廊下から土足で校舎裏に回る。
彼女はまだそこに居た。
なんだか夢でも見ているような気持ちで、俺はその後ろ姿を見つめた。
いくらか迷ってから、試しに彼女を呼んでみる。
「……こさち?」
まさか近くに人がいると思わなかったのだろう。
彼女は驚いたようにこちらを振り向いた。
そして、俺の姿を見て、息を飲む。
「……浅月、先輩?」
「……」
顔は、こさちに似ている。
でも、仕草も表情も、彼女とは違う。
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