62:名無しNIPPER[saga]
2016/04/13(水) 00:54:26.36 ID:i6zLcA0Oo
今も、あのときのように取り乱した様子はない。
彼は鞄を背負って、既に帰ろうとしているところだった。
ゴローは物怖じせずに、
「ちょっといいか?」と声を掛けた。
本気かこいつ、と思った。
ゴローは一応、嘉山が部誌を燃やした犯人だと思っているはずだ。
例の騒動を起こした張本人、だと。
でも、そんなの関係ないみたいに、ゴローは嘉山に面と向かって話しかける。
「なに」
俺の顔を見て、少し警戒したみたいに、嘉山は表情をこわばらせた。
無理もない、かもしれない。
「嘉山くんさ、ドラムやってるってホント?」
「……ん」
嘉山は小さく頷いた。
ホントなのかよ、と俺は思った。
「バンド組んで文化祭でライブやんない?」
嘉山は少し黙って、俺とゴローの顔を交互に見たあと、
「嫌だよ」
と言って、廊下をスタスタ歩いて行った。
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