65:名無しNIPPER[saga]
2016/04/13(水) 00:55:47.91 ID:i6zLcA0Oo
◇
そこからは慌ただしかった。
テスト勉強をしつつベースの練習をして、バイトにも出て、時間がいくらあっても足りなかった。
テスト期間中は部活がないから、るーとは顔を合わせなかった。
会おうと思えば会えたし、連絡を取ろうと思えば取れたけど、会わなかったし取らなかった。
夜になるとすず姉がうちにやってきて、俺のベースの練習を見るという名目で静奈姉と話をしていた。
俺はるーに告げるべき言葉を、どのようにいつ伝えるべきなのか、そんなことを眠る前に考えた。
そうこうしているうちに他の誰かにちょっかいでもかけられたらたまらない、というので、気持ちは急き立てられてもいた。
テストがはじまってしまうと顔を合わせる機会はほぼ完全になくなった。
もちろんるー側から連絡は取りにくいだろうし(なんせこちらが宣言してしまったわけだから)、俺から何かするしかないと分かってはいたけど。
まあとにかく、保留というわけではないけれどタイミングを伺いつつ、俺はるーのことばかり考えていた。
テスト期間中、ふと思い立って東校舎の屋上に昇ろうとした。
締め切られた扉のノブを、半分笑うような気持ちで捻る。
ぎい、と、鉄扉は軋む。
心臓がどくんと揺れた。
扉は当たり前みたいに開いた。
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