過去ログ - ちひろ「プロデューサーさんとの幸せな日々」
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14:名無しNIPPER[saga]
2016/04/06(水) 04:30:18.03 ID:yjfF0art0

 彼女たちが想いをほのめかすと、男は戸惑ったり、悩んだり、苦しんだりした。初めはアイドルとプロデューサーだから仕方がないと彼女たちは考えたが、だんだんおかしいと思い始めた。男の言葉も、行動も、すべてが嘘ではないかと疑うようになった。突き放すような態度を取ったり、距離を置いたり、時には拒絶さえした。だがそれでも男の態度は変わらない。自己犠牲的な奉仕は微塵も揺らがない。やがて彼女たちは男の愛が自分が考えているよりも、もっとずっと大きなものだと錯覚するようになった。

 この時点で、すでに彼女たちの目は光を失っていたと言っていい。

 盲目的な、底なし沼にも似た、一方的な、恋愛感情。

 それに男が気付いたのは、相互理解がもはや致命的な段階まで歪んでからだった。だが気付いただけだった。理解できなかった。どうしてなんの価値もない自分などにそんな感情を抱くのか。いや、そもそもそんな感情を抱かせてしまった自分の言動が、プロデューサーとして不適切だったのか。

 男は悩んだ末に、辞職を決意した。プロダクションの運営も軌道に乗った以上、自分がいるのはもはや悪影響でしかないと考えた。自分がすでにどれだけ影響を与えたのかも顧みずに、彼女たちの前から去ろうとした。目の見えなくなった彼女たちを闇の中に置き去りにしようとした。その結果が、現状だった。




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