過去ログ - ちひろ「プロデューサーさんとの幸せな日々」
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2:名無しNIPPER[saga]
2016/04/06(水) 04:13:06.90 ID:yjfF0art0

 一日目



「きょ、今日はアタシの番だな。だいじょうぶ、この前みたいなことにはならない、と思うから。
 ……その、予習というか……練習というか……自習を、えっと……うん」

 光は電気を消すと、ためらいがちに服を脱ぎ始めた。
 窓から差し込む僅かばかりの街灯の明かりが、膨らみかけた、未成熟な身体を薄闇の中に浮かび上がらせる。

「痛いのはヤだし……でも、それでPと一つになれないのは、もっと嫌だから……」

 暗い部屋に衣擦れの音が響く。短パンが肌を滑り落ち、その隣にシャツがぱさりと重なった。細い足首が脱ぎ捨てた短パンから引き抜かれ、下着姿になった光は一歩だけベッドに近づいた。
 華奢な首と、壊れてしまいそうな肩。薄い胸を隠す両手。うっすら浮いたあばら骨から腰かけての未熟な曲線は、張りのある尻から小鹿のように引き締まった太股へ続き、しなやかなふくらはぎを通って、愛らしいくるぶしまで流れている。

 つぼみだった。開きかけの、だが紛れもない色香を漂わせる、妖しいつぼみ。

 光はゆっくりと近づいていく。下着は脱げなかった。恥ずかしいのもあるが、自分の身体をすべて晒け出す勇気がなかった。この家で一番未熟なのは自分だという自覚が、コンプレックスになっていた。見られたくない。大人じゃない自分を見てほしくない。

 ベッドに腰かけた男の頭を、かかえこむようにして抱きしめた。こうしていれば何も見えない。一番じゃない自分を見つめられることはない。そう思うとすこしだけほっとした。

「……ひとりで、してたんだ。自分の部屋で、毎晩、Pのことを考えながら……この部屋で誰かを抱いてるPのことを想いながら……何度もしたんだ……でも、するたびに寂しくなった……ひとりは、寂しかった……」

 男の髪の毛に鼻先を埋めて、光はささやいた。いい匂いがする。冷え始めた白い肌が、男の体温を感じてゆっくりと熱を帯び始める。羞恥心が溶け、理性が崩れ、頭の奥がしびれていく。熱病のようだった。いや、事実それは病だった。

 彼がここにいる。この腕のなかにある。それだけで彼女は熱にうなされる。

 届くことなどありえなかった。叶うはずもなかった。願うことしか許されなかった。望み、希い、求め、裏切られ続けた。困ったような笑顔が、戸惑うような言葉が、どこか救いさえ求めるような眼差しが、少女を傷つけた。深く、深く傷つけた。血を流し、涙をこぼし、嗚咽を吐いて、それでもなお想いは消えなかった。焦げ付いた烈情に煤けた、狂おしいまでの恋心は、死ななかった。





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