過去ログ - 今井加奈「二つ目の魔法」
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6: ◆bwwrQCbtp.[sage]
2016/04/07(木) 19:44:39.52 ID:hs8LFNrfO

 缶コーヒーを手に、事務所に戻ってドアを開ける。
 ふと、ドアの横の鉄製のゴミ箱が目に付いた。
「こんちくしょう!」
 一喝し蹴りつける。

 ゴミ箱は、ガラガラガッシャーン!とド派手な音を立てて転がった。

 そこで人影に気付いた。
 ヤバい!
 俺は何をしてるんだ?!

 慌てて人の方を見ると、立っていたのは加奈だった。
 思わず立ちつくす。

 なぜ・・・ここに?

 加奈は今まで見たこともない、怯えた表情をしてこちらを見ている。
 いや、俺も今まで見せたことのない狼狽を見せてるだろう。
 加奈の前だとわかってはいても、どうにも取り繕うことすら出来ない。

「お、おどかしちゃったか・・・すまん。」

 ようやくそれだけの言葉を絞り出す。

「プロデューサー・・・これ・・・」

 怯えきった加奈の視線が、手に持った書類に落ちる。

 なんだ?と数歩歩み寄ったところで、その正体に気付いた。
 見られた・・・か・・・

「ごめんなさい!見るつもりはなかったんです!」

 俺の焦りは顔に出ていたのだろう。加奈はそれを察知した。

「い、いや、別に、このことは、担当のアイドルに教えても構わないことに
なってるから、加奈は悪いことをしたわけじゃない。それに見られたら困る
ものなら、出しっぱなしにしておいた俺が悪いんだ。」

 これは本当だ。
 ただ、あえて今まで教えていなかったのも、事実だが。



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