過去ログ - モバP「二兎追い人の栞」
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5: ◆m03zzdT6fs[sage saga]
2016/04/10(日) 21:08:55.55 ID:qn31rgISo
 ……はは、僕の言っていること、わからないよね。

 じゃあ人生を読書に例えてみよう。これならきっと、分かってもらえると思う。

 きっと君は、一冊の本を一章ずつ。あるいはひと段落ずつ。ちょっとずつ読み進めては、栞を挟んでいく。そして一生をかけてその本を読みつくす。そんな人生だと思う。

 今日はここまで読んだから、また明日。明日はここまで読もう。きっと、それが普通の人の人生なんだって思うよ。

 人生という名の本を、ゆっくりゆっくり読み進めていく。慌てず、騒がず、じっくりと一文字を吟味し、堪能して。その先にある見たこともない文字を咀嚼して、自分のものにして。

 それで……”栞”を挟む。そう、”栞”。誰も彼もが持ち合わせている人生の休憩時間。

 けれど、僕は違う。僕は本の先へと行きたい。本の全てを早く、読み切りたい。『次の本』を読みたくてたまらないから。じっくりなんて、読んでいられないから。読みたい本がたくさんあるんだ、僕には。

 だから僕は、ただひたすらに読み進める。この身が果てるその瞬間まで、ただただ、ひたすらに。何かの拍子に、本が読めなくなってしまうかもしれないから。

 僕の本に”栞”は要らない。休憩なんて、している暇はない。

 僕は――”二兎追い人”だから。



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