過去ログ - 【ミリオン】P「今日、桃子が結婚します」
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1:名無しNIPPER
2016/04/15(金) 23:58:02.24 ID:awLzQPLW0
「桃子みたいな子ども相手に、ウェディングドレスが似合うとか……お兄ちゃん、本気で言ってるの? ……ふ、ふん、当然でしょ。……でも、ありがと……」

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2:名無しNIPPER[sage]
2016/04/15(金) 23:58:45.16 ID:awLzQPLW0
ここで桃子がそう言っていたのも思い返してみると15年前である。
我ながら気持ち悪いが覚えてしまっていたものは仕方がない。
俺の目の前にはあの時徳川さんや真壁さんの撮影に使ったあの教会があった。少々古ぼけてはみたものの、その分培われた愛と祝福の数のおかげかあの頃より立派に見えた。
なんでここに俺がいると結婚式に参加するからだ。
新郎ではなく、花嫁をエスコートする父親の立場でだが。
以下略



3:名無しNIPPER[sage]
2016/04/15(金) 23:59:19.61 ID:awLzQPLW0
桃子は今年26歳である。
晩婚化と言われて久しい現在なのでそこそこ早い部類に入るのではなかろうか。
そういえば横山さんが、「桃子に先越されるなんて〜!」と言っていたっけ。
肝心の相手は、少し前にブレイクして最近では司会業に活動を移しているお笑い芸人だ。
そんなに悪い噂は聞いたことはない。
以下略



4:名無しNIPPER[sage]
2016/04/15(金) 23:59:51.74 ID:awLzQPLW0
新婦の控え室の椅子に座り、俺はゆっくりとしていた。
花嫁の支度にはまだ時間がかかるらしい。
本来いるべきはずの桃子の実の父親と母親の姿は見えない。
結局ここに至るまで桃子と桃子の両親の関係は改善されてはいなかった。
決定的だったのが桃子が14歳の時の両親の離婚。
以下略



5:名無しNIPPER[sage]
2016/04/16(土) 00:00:41.68 ID:rfaQLdSp0
そしてその時に俺は思ったんだ。
「お兄ちゃん」じゃない、俺はあの子の親になろうと。
結局最後まで俺は「お兄ちゃん」と呼ばれ続けたが。
あの子が与えられなかった愛を、注げるだけ注いであげようって。
幸いなことにこの劇場にはあの子のお姉さんになってくれる人たちがたくさんだった。
以下略



6:名無しNIPPER[sage]
2016/04/16(土) 00:02:21.23 ID:rfaQLdSp0
「おーっす」
との言葉とドアの音によって、俺の記憶の旅は仕舞いになった。
立っていたのは、これまた俺の担当アイドルだった。

「下で酒飲んでるんじゃなかったのか」
以下略



7:名無しNIPPER[sage]
2016/04/16(土) 00:03:05.90 ID:rfaQLdSp0
福田のり子、現在33歳。
アイドルを卒業し、現在ではバラエティの司会などを主としたタレントして活躍している。
もともと担当だったということもあるが、バイクだったりプロレスだったり趣味が合ったこともあってか、仕事を離れてプライベートでも付き合うことが多くなった。
もちろん俺も良い年だし、のり子だってそうだ。
そういう勘繰りをされることは多々あるが、そんなことは無い。
以下略



8:名無しNIPPER[sage]
2016/04/16(土) 00:03:37.31 ID:rfaQLdSp0
「だな……」

「ショック?」
おかしなことを聞くやつだ。どんな心持ちだと聞くのは分かるが、なぜそんなにネガティヴな方向に限定されているのだろうか。

以下略



9:名無しNIPPER[sage]
2016/04/16(土) 00:04:11.16 ID:rfaQLdSp0
「お父さんってさ、報われないよね」

「えっ?」

「どんなにさ、大切に大事にしてあげて守ってあげても、娘はどこかに行っちゃうんだもん。 自分と同じくらい大切に大事にしてくれるかなんて分からない、そんな男の人のとこへさ」
以下略



10:名無しNIPPER[sage]
2016/04/16(土) 00:04:59.34 ID:rfaQLdSp0
それっきり俺たちの間には会話が生まれなかった。
のり子のやつ、何を言ってるんだ。
そりゃそういう風に見ればそうなのかもしれない。けれども俺は、……違う。違うんだ。俺はあのお笑い芸人の彼に、彼なら桃子を幸せにしてあげられるってそう思ったんだ。
何が父親が報われないだ。娘が幸せになれば報われるさ。
大事に大切に育ててきた娘が選んだ相手なんだ。その相手に間違えなんてあるわけ、ない。
以下略



11:名無しNIPPER[sage]
2016/04/16(土) 00:06:14.27 ID:rfaQLdSp0
幕間

アタシの言葉に何も答えてはくれないプロデューサーの背中を見送り、アタシはまた椅子に身体を埋めた。
外から見てたアタシには分かる。
あの2人はお互いに好きあっていた、初めて出会った頃からずっと。
以下略



12:名無しNIPPER[sage]
2016/04/16(土) 00:06:42.87 ID:rfaQLdSp0
先ほどののり子の言葉がまるで呪いのように耳に張り付いて離れない。
なんとか心の中だけでも反論しようとするが、すればするほどできなかった。
お父さんが報われるのはどんな時だ。
娘が自分以外の男の横で幸せになった、その時か。
のり子は言った。「祈り続けるしかないんだよ、だから報われない」と。
以下略



13:名無しNIPPER[sage]
2016/04/16(土) 00:07:25.28 ID:rfaQLdSp0
扉を開けると、そこには世界中のどこを探したって見つからないほど美しい花嫁がいた。
俺の担当アイドル、俺のパートナーだった桃子だ。
頭が麻痺し、なんて声をかけたら良いものか悩んだ。
そして出てきたのは、

以下略



14:名無しNIPPER[sage]
2016/04/16(土) 00:08:15.45 ID:rfaQLdSp0
そう言うと桃子はベール上にあげた。
年を重ね、立派な女性へと成長した桃子。その薔薇色の唇を、見てしまった。
そして俺は自分が自分にした勘違いの罰を思い知った。
頭のてっぺんから足の先まで震えが走る。
その後にした桃子との会話は正直覚えていない。
以下略



15:名無しNIPPER[sage]
2016/04/16(土) 00:08:42.78 ID:rfaQLdSp0
親族控え室に戻ると、のり子の姿は無かった。好都合であった。
気づかなければ良かったのに。いやずっと心の奥底では気づいていた。
見ないふりをしたのは、目をそらし続けていたのは誰だ。
先ほどの桃子の唇を見て、そしてその後の誓いの口づけまでを想像し、俺が抱いものは何だ!
どこまでも深く、暗いドロドロっとした嫉妬心だけだ。
以下略



16:名無しNIPPER[sage]
2016/04/16(土) 00:09:12.87 ID:rfaQLdSp0
そのことを自覚したって、認めたってもう遅い。
だって今日は結婚式なのだから。
あの時と違って本物のウェディングドレスを着た、本物の花嫁がいる本物の結婚式だからだ。
俺は目の前にはバージンロードがある。
俺は今からここを歩いて、桃子をあの男の元に連れていかねばならない。
以下略



17:名無しNIPPER[sage]
2016/04/16(土) 00:10:46.12 ID:rfaQLdSp0
最後までお読みいただきありがとうございます。

桃子、俺と結婚しよう。


18:名無しNIPPER[sage]
2016/04/16(土) 00:12:46.67 ID:7Il4ktaa0
父親って複雑なんだね...........................、先輩は渡さないけどな!
乙です

周防桃子
i.imgur.com
以下略



19:名無しNIPPER[sage]
2016/04/16(土) 00:16:22.99 ID:rRCTl04q0
お、おう……


20:名無しNIPPER[sage]
2016/04/16(土) 00:38:18.83 ID:8MyNgmUIo
父親の気持ちわからんけどこれはつらいな


21:名無しNIPPER[sage]
2016/04/16(土) 01:10:23.26 ID:Pk6byiBgO
お、乙です。
父親って大変…


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