12: ◆yz988L0kIg[saga]
2016/04/17(日) 22:41:18.64 ID:jEsO6OsCO
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プロデューサーが出張にいってしまい、どんよりとした空はのように雪美は憂鬱だった。
来る月曜日のため、事務所の一室で他のキッズアイドル達と宿題と格闘していた。
宿題を片付けた雪美は、手持ち無沙汰になりペロを膝に乗せて撫でる。
「ニャッ!」
いきなり、ペロは彼女の膝から飛び退いた。
「どうしたの……………そう……………ごめんなさい……」
「雪美ちゃんどうしたの?」
隣で宿題に苦戦していた舞が心配そうに声をかける。
「ううん……なんでもない……」
「そう」
雪美はばつが悪くなり、席を立ち窓へ向かう。
外はまだ夕方にもなっていないというのに暗く陰鬱としていた。
曇った窓ガラスに、伸びた爪でなんとなく、まるをかく。
その中を塗りつぶすように指の腹で拭う。
覗き穴の中から外の景色を覗いた。
相変わらずいつもの灰色のビルとプロデューサーがよくいくラーメン屋の赤い暖簾だけが写る。
この曇り空の先で、彼がいるのだろうか?
そんなことを夢想しつつ、爪で器用に透明なキャンパスに絵を描く。
伸びた爪で傷めつけてしまった、愛猫を描いてみる。
描いているそばから、水滴がたれる。
びしょ濡れの泣いている猫の完成。
なんだか私みたいで不気味だと、彼女はすぐに袖で拭った。
「雪美ちゃん、レッスン行こ!」
遠くで宿題を片付けた舞が、声がした。
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