過去ログ - オッサン勇者と少女魔族が世界を旅する話
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10:名無しNIPPER[saga]
2016/04/18(月) 01:16:44.26 ID:ZyCwTMFeo
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「もう一度言いますけど、私は私の意志でここにいるのではないのですからね」

「うるせェ! 黙って歩け!」

王都の大通りの往来を一組の男女が闊歩する。
男の怒声に人々が振り返る。男はバツが悪そうに赤面をすると早足でその場を立ち去り、女は嘆息しつつ男の後を追った。

男はさっぱりとした短い黒髪に鷹のような鋭い眼を携え、上背のある体躯を揺らしながら歩く。
女は絹のようなたっぷりとした銀髪とくっきりとした目鼻立ちに加え、視る者を魅了する真紅の瞳と左の眦にある蠱惑的なほくろが特徴的だ。
さらには同伴する男ほどではないがスラリと高い身長と他の女性が羨むような豊満な身体を持っており、歩くたびに道行く男たちの視線を釘づけにしていた。

「ふむ。この身はやたらと注目を集めますね。少々失敗しましたか」

「大体なんでそんな扇情的な格好してんだ。へそを出すな。へそを」

「扇情的な格好をしているわけではありません。衣服の大きさが私に合っていないだけで、一般的な大きさの着衣であると聞いています」

「一般的なものであっても、大きさが違えば一般的の枠から外れることもあんだよ」

「では、私にどうしろと? ここでまた幻身の法を使えというのですか?」

「んなこといってねェ。とりあえず、宿に入る。巻き込まれで好奇の視線に晒されるのも居心地が悪ィんでね」

「もう就床するのですか。十年以上ぶりの王都なのでしょう? もう少し満喫してはいかがですか」

「そういう気分じゃねェよ」


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