過去ログ - オッサン勇者と少女魔族が世界を旅する話
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16:名無しNIPPER[saga]
2016/04/18(月) 01:25:51.96 ID:ZyCwTMFeo
大通りを離れた裏路地を先ほどの男女が早足に進んでいく。

「お前、なんにも考えてねェだろ」

「そんなことありません」

「騙されたことに怒る気持ちはわかるがよ」

「魔族である私を謀ろうとするなど、許せるものではありません」

「向こうは、ただの人間だと思ってんの。お前だってそう思わせるために魔法つかってるんだろが」

先ほどのやり取りにやはり納得がいっていないように、女はむくれた顔をする。

「それは、そうですが。ニンゲンがニンゲンを騙すことも悪なのではないのですか?」

「そりゃわりィことに違ェねェがよ」

女からの思わぬ正論に、思わず男は口ごもる。

「まァ。これもお前の使命の一環だろ。勉強になったじゃねェか」

誤魔化すように、女に顔を向け、諭すように語りかける。
この街に来て女は初めて男の顔を意識的に見つめた。

「……ええ。ニンゲンはすぐに騙そうとするいやしい生き物であるということを学ばせて頂きました」

「その口の悪さ、どうにかできねェもんかね……」

女の据わった視線を受け流しながら、男は一軒の宿の前で歩みを止めた。


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