過去ログ - オッサン勇者と少女魔族が世界を旅する話
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8:名無しNIPPER[saga]
2016/04/18(月) 01:15:05.67 ID:ZyCwTMFeo
(ここで終われねェ……終わるわけにはいかねェ……)

側近は思わず目を瞠る。
まるで全力ではないとはいえ大半の生命体が絶命する威力の魔力波を二度も受け、尚立ち上がる姿に素直に驚嘆していた。

『まさか、お前が片腕のすべてを使って受けるとはな』

『お見苦しいところをお見せいたしました』

『それほど、奴の剣技は見事だったのだろう』

『はい。それに加え、砕けない肉体、折れない精神。奴は本当にニンゲンなのでしょうか』

『奇跡、と呼ぶほかあるまい』

さらに驚愕は続く。
側近の頬から一筋の傷が開き、僅かに血が滲み出る。

『なっ……!』

爪の先ほどのわずかな傷にすぎなかった。
だがその傷は勇者の攻撃が側近の予測を超えたことの証左に他ならない。

『ほう。お前に傷を負わせるか』

『ああ、なんという……! 申し訳ございません! 我が主の前で私の穢らわしい血をお見せするなど』

『構わぬ。しかしやはりニンゲンの評価を改めなければならぬな』

身体は砕けずとも心は折れずとも、魔王と側近の賞賛とは裏腹に勇者の頭の中では既に結論が出ていた。

(勝てねェ。だが……)

勝機はない。それでも背を向けることは元より考えにない。



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