過去ログ - P「ドラマ主演が決まったぞ森久保ォ!」
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1:名無しNIPPER
2016/04/18(月) 16:54:04.88 ID:zgLimiGp0
――事務所、デスクのP&アンダーザデスクの乃々。

乃々「……オーディションに出た覚えがないんですけど」

P「作品の原作者が以前にお仕事でご一緒した絵本作家さんと知り合いで、ふと森久保の話が出たらしい。そしたら原作者さんから直接オファーがきた、まあ平たく言えばコネだな。――ほい、これ企画書」

乃々「これは、……某女性向け漫画雑誌で連載している作品、もりくぼも知ってます」

P「知ってるなら都合が良い。はー、オーデ省略って素晴らしいな森久保。労力がかからないし、スケジュールは組みやすいし、目的や目標が立てやすい。それじゃあ、さっそく監督に」

乃々「はい……、丁重に断って下さい」

P「………………」

乃々「……………」

P「………………ニコッ」

乃々「ビクッ」

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2:名無しNIPPER[sage]
2016/04/18(月) 16:54:28.65 ID:zgLimiGpo
乃々「……むーりぃ、……むーりぃ、……むーりぃ」

P「HAHAHAHA、冗談はほどほどにな。放送は深夜帯予定だが連続ドラマの、それも主演だぞ。十二分に乃々の名前を世に広めることができるじゃねーか、それを蹴るなんてとんでもない」

乃々「ただでさえ人見知りで、……目も合わせられないのに、……その上に演技をしろって、プロデューサーさんの方こそ冗談はやめて欲しいんですけど」
以下略



3:名無しNIPPER[sage]
2016/04/18(月) 16:55:08.98 ID:zgLimiGpo
P「どうもこうもねぇよ。実際問題、この世にドラマの主演を断ることができるアイドルがどれくらい存在すると思う。芸能界は常に人が溢れていれる、供給過多みたいなもんだ。そんな時代、若手アイドルに仕事を選べるほどの人権は確立されてない」

乃々「………………」

P「何度もしつこく言うが連続ドラマの主演だぞ。もし俺がこの話を蹴ったら、俺は上司に土に埋められるだろう。それから第二、第三の俺が現れて森久保にドラマの出演を迫る」
以下略



4:名無しNIPPER[sage]
2016/04/18(月) 16:56:03.68 ID:zgLimiGpo
乃々「……プロデューサーさんは原作の内容も確認しないでドラマの仕事を引き受けたんですね……」

P「い、いやっ、そんなことはないぞ。ドラマの話が舞い込んだ直後にネットカフェに直行して速攻先生の漫画を手にとってだな、……探すのに時間かかったけれど」

乃々「最新刊は?」
以下略



5:名無しNIPPER[sage]
2016/04/18(月) 16:56:51.08 ID:zgLimiGpo
乃々「いつもは頼みの綱のプロデューサーさんですが、果たして今回は違うようです。……ああ、もりくぼは不安でいっぱい。……きっともりくぼが主演を引き受けたら、天地を揺るがすような大惨事が起こるに決まっています。……ドラマに関わった人がすべて不幸になるでしょう」

P「………………」

乃々「むーりぃー……、これはむーりぃー。ということで、……はいどうぞ。ドラマの企画書です。監督に不参加を伝えた後、企画書は暖炉にくべて一緒に温まりましょう……」
以下略



6:名無しNIPPER[sage]
2016/04/18(月) 16:57:18.63 ID:zgLimiGpo
乃々「む、MUUURYYYYYYYYYYYYYYYY!」サッ

P「つ、机の下から這い逃げやがったっ、待てやこらぁ!」

乃々「い、いまこそ、ランニングの成果を見せるんですけどっ!」
以下略



7:名無しNIPPER[sage]
2016/04/18(月) 16:58:24.97 ID:zgLimiGpo
――プロダクション併設カフェにて。

P「……ということがあった。みくにゃんどうしよう」

みく「事ある毎にみくを呼ばないで欲しいにゃ」
以下略



8:名無しNIPPER[sage]
2016/04/18(月) 16:59:06.52 ID:zgLimiGpo
P「……………コプッ」ダバー

みく「ほら、落ち着いたかにゃ。口元の血を拭くにゃ」サッ

P「いつもすまんな、みく」フキフキ
以下略



9:名無しNIPPER[sage]
2016/04/18(月) 16:59:35.42 ID:zgLimiGpo
――会議室。

P「おおよそ脚本は確認させていただきました」

ディレ「……え? もう? 完成した台本は未だ始まりから数話分だけれど、けっこう分厚かったでしょう?」
以下略



10:名無しNIPPER[sage]
2016/04/18(月) 17:02:34.42 ID:zgLimiGpo
P「無論、分かってます。しかし脚本をという冊子の存在がある以上は、第三者が意図的に脚色を行うことも可能です。……その、本当しつこくて申し訳ありませんね」

ディレ「なるほどねぇ、分かりました。僕が脚本さんに聞いておきます。ま、杞憂だとは思いますよ。おたくの子はお幾つでしたっけ、……中学生? まだ、14。あははは、無理無理」

P「あはははは、そら杞憂ですよね、BPO黙ってませんよねー。……じゃ、残りの心配の種は竿役ですか、種だけに」ボソッ
以下略



11:名無しNIPPER[sage]
2016/04/18(月) 17:03:21.99 ID:zgLimiGpo
――事務所、デスクにて。

P「共演相手は17か……、写真の印象より一回り若い。資料のない新人、調子に乗ってやらかさなければ良いが」

みく「そんなこと考えている暇があるならドラマの成功に向けて尽力しろにゃ……」
以下略



12:名無しNIPPER[sage]
2016/04/18(月) 17:03:48.94 ID:zgLimiGpo
P「だからこそ煙が立つ可能性は……ドラマの共演相手。元来、男という生物は下半身に脳みそが付いているモンで、高校生なら殊更に暴走しやすい時期だ、リビドーを発火剤にしてな。ガキは捨てるものが少ないし、あらゆるモノに対して恐怖心も薄い。……別にソレが若さだから否定するわけじゃないが」

みく「そもそもPチャンも男だから否定しようがないんじゃ……、っていうか、みくのクラスメイトに対して随分な物言いにゃ。あとガキって言葉も気に入らないにゃ。Pチャンは所属アイドルに向かっても、このガキーって言い放てるのかにゃ」

P「いやいや、言葉の綾ってやつだ。万が一を起こす人種に向けて、そういう言い方をしたわけで、そもそも女子と男子は違うって。……ま、もしこの優男がウチの森久保に手を出したら、3000℃のコールタールに漬けて骨ごと溶かそうな、巴に頼んで」
以下略



13:名無しNIPPER[sage]
2016/04/18(月) 17:04:18.05 ID:zgLimiGpo
――車内後部座席、現場への移動中。

乃々「……本当にむーりぃー、……心臓が体中を暴れまわっているんですけど、……プロデューサーさんも聞こえませんか、拒絶の鼓動が、もりくぼビートが。ほら……ほーらぁー」

P「分かった、気持ちは超分かったから俺の腕を締め付けないで、ムラムラして襲っちゃうぞ。…………正直に言うと腕がうっ血しそうだから、だからマジで、腕離して」
以下略



14:名無しNIPPER[sage]
2016/04/18(月) 17:04:56.28 ID:zgLimiGpo
乃々「………………」

P「実際問題、森久保のファン層の何パーセントが森久保に欲情しているんだろう。たしかに森久保の話も一理ある、森久保はネタ的な三枚目としてのポテンシャルも高い。今度のライブでアンケートでも取れねーかな……、今後のプロデュースに関わる重要な問題だ」

乃々「……よ、欲情って、……もりくぼは何もそこまで……あうぅ」
以下略



15:名無しNIPPER[sage]
2016/04/18(月) 17:05:48.38 ID:zgLimiGpo
現場、顔合わせ

乃々「そ、想像以上に、人がいっぱい……うじゃうじゃなんですけど」

P「人数の多さは今回だけだ、初回の顔合わせだからドラマに関わる人が一堂に会する。演者、技術者、編集者、管理者、原作の先生もいるな。要所要所では個人的な挨拶も必要になってくる。顔は事前に覚えてあるから、俺についてこい森久保。それから車内でも言ったが、これからミーティングで皆が制作に対する想いや意気込みを表明していく。森久保も文章はもう考えたか?」
以下略



16:名無しNIPPER[sage]
2016/04/18(月) 17:06:19.03 ID:zgLimiGpo
P「森久保、あのな、毎回じゃなくていいから。せめて、せめて初めての一回ぐらいは、人の目を見よう。じゃないと関係者の顔が覚えられないだろ……」

乃々「む、むーりぃー……、もう、色々な人と、お話して、もりくぼは目がグルングルンしているんですけど」

P「苦手でも下手くそでも何でも良いから、現場の仲間と関係を築く努力をしてくれ。今までの挨拶回りで何人ぐらい記憶できた?」
以下略



17:名無しNIPPER[sage]
2016/04/18(月) 17:07:13.22 ID:zgLimiGpo
P「先生っ、先生じゃないですか! いやー、挨拶が遅れてすいません〜!」

先生「あらあら、どちら様でしょうか」

P「申し遅れました、346プロダクションの者ですぅ。全体ミーティングの直前に失礼致しますぅ、どうしてもお話がしたくてですねぇ。――この度は先生の作品に森久保乃々を指名してくださったとか、感激の至りですぅ。この子が乃々ですぅ、前もって送らせていただきました宣材写真はご覧になっていただけましたでしょうか。どうです超絶に可愛いでしょ、森久保乃々は前々から先生の作品を愛読しておりまして、きっと先生の望まれるパーフェクトな仕事をしてみせますぅー」
以下略



18:名無しNIPPER[sage]
2016/04/18(月) 17:08:31.14 ID:zgLimiGpo
先生「乃々ちゃんマネージャーさんの腕にべったり、よっぽど信頼されてますね」

P「お恥ずかしながら極度の人見知りでしてー。もうミーティングが始まるのに、どうにも尻込みしちゃいましてぇ、あはは」

先生「乃々ちゃんは中学生よね、これぐらいの歳の子だったら普通よー。むしろ私の中学時代よりよっぽどマシじゃないかなー」
以下略



19:名無しNIPPER[sage]
2016/04/18(月) 17:09:03.11 ID:zgLimiGpo
乃々「森久保は人から人へと渡り歩く……まるで奴隷のように……」

先生「乃々ちゃんのマネージャーさんかっこいいね、いつも一緒にいるの?」

乃々「……マネージメントもしますが、あの人はプロデューサーさん、です。……なんていうか、……担当するタレントに関すること全てに対して、ほぼ全権を握っています」
以下略



20:名無しNIPPER[sage]
2016/04/18(月) 17:09:39.46 ID:zgLimiGpo
乃々「…………先生は、どうしてもりくぼを、……その、指名したんでしょうか」

先生「ん? ………………んー」

乃々「絵本作家さんの紹介とは言え、会ったこともないのに。……現に今日が初対面ですし……」
以下略



21:名無しNIPPER[sage]
2016/04/18(月) 17:10:12.45 ID:zgLimiGpo
先生「ねー乃々ちゃん、あのプロデューサーの腕につかまっている内は、静かな日々なんて一生来ないよ、断言しちゃうわ」

乃々「で、でもっ、嘘じゃないんですけど……もりくぼは平穏が好きで……」

先生「よっぽど有能なのね、乃々ちゃんのプロデューサーって」
以下略



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