過去ログ - 『聖タチバナ』野球しようよ『パワプロss』
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◆ugYRSBAsKU
[saga]
2016/05/05(木) 02:37:09.25 ID:VzsBCmWJ0
■■■
で、だ。
結局、試合は西強高校の圧倒劇にて終わる。
五回までなんとか三失点で終えるものの、その五回で起きたツーランがよほどの効いたのか、それ以降は見るも無残となった。
そもそもの話、五回の時点であれだけ安打を打たれているのだからそうなるのも必然だったのだろう。
それに、両チームの選手での差もあったことだし。
といっても、パワフル高校は確か去年の夏に行われた地区大会で確かベスト8だったはず。
だからパワフル高校が弱いのではなく、西強高校が抜けているのだろう。
事実、甲子園の成績だけでなく、甲子園予選激戦区である東京都で毎年のように出場校の座を手にしているのだから。
つまりまあ―――それから分かることはだ。
―――甲子園に出ようものなら、西強高校に勝たなきゃいけないわけか。
なんて理不尽な戦いだろう。
それでも夢見る球児達ならば、あれに挑まなければならならない。
生憎、夢見る球児ではないので、夢破れる屈辱を味わうことはなさそうだが。
―――まあ、そんなことよりも。
「いやー、やっぱりかき氷は氷あずきに限る」
現在、例の喫茶店にて休憩中。
ガラスの器で山になっているかき氷を一口パクリといくと、そんな声が漏れた。
美味い、美味い。俺は続けて手に持ったスプーンを動かす。
一方で、向かいの席に座る矢部はなぜだが何時もとは違った。
それには思わず俺は首を傾げると。
「……どうした?」
「むしろこっちが聞きたいでやんす。どうして、国見くんはそう平然としてるでやんす?」
「? なにか問題でもあるのか?」
「おおありでやんす!」
そう言われても、今一理解できない。
はて? 矢部に一体何があったのだろうか?
なんて、再び首を傾げてみる。
瞬間、隣に座る人物から声が上がった。
「こら、矢部。店内で余り大きな声を上げるんじゃない」
その声の主は、我がクラスの担任である大仙清教諭様のものだった。
大仙教諭様は俺達と同様にかき氷を静かに食していた。
対して注意を受けた矢部はお申し訳な表情を作る。
「あ……すまないでやんす」
そう矢部は口にすると、すぐさま表情を崩して言った。
「―――って、違うでやんす。どうして大仙先生がここにいるでやんすか!?」
「そりゃお前、教師だって息抜きの一つくらいする」
当然のように、大仙教諭様は語る。
そしてまた一口と、かき氷を口に放った。
そんな態度に矢部はタジタジとすると、
「いや、その、もっとちゃんとした説明をしてほしいでやんす……」
「? ちゃんとしたと言っても、休日に喫茶店に足を運んだだけだ。
お前たちと会ったのは……そう、偶然というやつだ」
「……じゃあ、国見くんが先生を呼んだわけじゃないでやんす?」
「ばっきゃろ、せっかくの休日に、こんなおっさん呼んでどうする」
「……国見。生徒指導の部屋は何時でも空いているぞ」
こつり、と頭部を軽い拳骨が襲った。
痛くはなかったが、俺は頭を押さえる。
そして大仙先生はというと、態度を崩さぬまま口を動かした。
「と、そういえばだ。野球部……いや、愛好会だったか?
まあ、どちらでもいいか。とにかく、部員の件だが、こっちで三人ほど確保しておいた」
その言葉にちょっとだけ驚いた。
矢部は俺以上に驚いていて、少しだけ間を置いて言った。
「……大仙先生は、どうしてそんなに協力的でやんす?」
「ん? ……いや、前から高校野球に興味があってな。
顧問をやってみたいというか……まあ、出来心みたいなものだ」
それにしては、こちらの想像以上にやってくれる。顧問の件だけでも助かったというのに。
なんて思っていると、だ。既に大仙先生は、残り少なかったかき氷を食べ終えていた。
そして、
「―――じゃ、また今度な」
そう言って、会計を済ませると俺達の前から去った。
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