9: ◆6QdCQg5S.DlH[saga sage]
2016/04/22(金) 02:39:04.83 ID:yLOHrj4Y0
「……はぁ」
一人残ってため息がまたこぼれる。
本当は行ってほしくなかった。
あたしとのデートの方が大切、なんてキザなこと言って残ってほしかった。
このため息は、そんな素直な気持ちが吐き出せなかった自分に呆れるため息だと思う
「でも……本当に急ぎだったのよね」
「料理頼んでたのだってきっと忘れてるでしょうし」
一目散にかけていったのだから、本当に重大な仕事だったんだろう。
……もし、あたしが素直に伝えていたら、彼は残っていてくれただろうか。
あたしと仕事、どっちをとってくれるだろうか。
「……主婦みたいね、これ」
あたしの好きになった彼はそういう人だから。
そこであたしなんて答えをだしたらむしろ怒ったと思う。
……。
……本当に怒れた?
「あーあ……せっかくのデートだったのに」
心に浮かんだ変な疑問を打ち消すように声を出した。
……出したら出したで、なんだか憂鬱な気分に。
「午前はすっごく楽しかったのになぁ」
きっと午後はもっと楽しくなるんだろうって思ってたところにこれ。
今日ってそんなに運勢悪かったっけ?
「……」
もらったストラップを見つめる。
つっついてみると、ゆらりと揺れた。
その様子をぼんやりと眺めているうちに注文したものが来てしまった。
「……ご飯食べたら帰ろ」
それで……時間がたったころにまたこの前みたくメッセージを送ってみよう。
他愛なくてもいいから……もっといっぱい会話したい。
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