過去ログ - サザエ「そして誰もいなくなったのね」
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84: ◆5o0gtk7tVI[saga]
2016/05/02(月) 22:35:36.91 ID:OcwQl7p80
「タラちゃんがいなくなった時、わたし、ヘンだって思ったわ。あの時はうまく言えなかったけど、今ようやくわかったわ。あの子がタラちゃんを見失ったとき、砂浜にいるわたしたちの所へ飛んできて、行方不明だって言っていたでしょう。それがおかしかったのよ」サザエは一度言葉を切って、「トイレではぐれたのなら、先にひとりで海に戻ったって考えるのが普通でしょう。なのにカツオったら、血相を変えて走ってきて、まるで最初からタラちゃんが海にいないことを知っているみたいだったわ」

マスオも、波平も、フネも、サザエの言葉にはっとして顔を上げた。彼女の言うとおりだったのだ。

トイレに出掛けたタラオを見失ったのはカツオだった。では、そのカツオが嘘をついていたとしたら?
以下略



85: ◆5o0gtk7tVI[saga]
2016/05/02(月) 22:36:37.01 ID:OcwQl7p80
波平は想像してみた。カツオが、鋭い刃物でタラオの身体を切り刻む姿を! ぷくりとしたやわらかいタラの下ごしらえをするところを!

ありえない。カツオがそんなことをするはずがない!

「しかし、カツオとタラちゃんが席を外していたのは、ほんの15分足らずだぞ。その間になにができる?」
以下略



86: ◆5o0gtk7tVI[saga]
2016/05/02(月) 22:38:00.27 ID:OcwQl7p80
「きっと何処かに隠れ家があるのよ。そう、洞窟があるんだわ! 暗くて、大きくて、深い洞窟が、大きな口を開けているのよ。そこでカツオが笑っているんだわ!」

「サザエ……」

フネは苦しげな表情を隠せずに居た。彼女は、カツオの潔白を信じたい、そんな顔をしていた。
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87: ◆5o0gtk7tVI[saga]
2016/05/02(月) 22:40:42.71 ID:OcwQl7p80
「馬鹿なことですって?」サザエは波平を睨みつけた。「ワカメも、首を絞められていたのよ! あの首の痣、父さんも見たでしょう? あれが自殺なもんですか。ワカメも殺されたのよ!」

それを聞いて、波平はハッとした。彼は、『マスオと合流する直前に、カツオとワカメの二人に会っていた』ということを思い出したのだ。

彼はその後すぐにマスオと館へ戻って、フネと三人で館内を捜索した。つまり、ワカメ殺しのアリバイがないのは、サザエとカツオの二人だけなのだ。
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88: ◆5o0gtk7tVI[saga]
2016/05/02(月) 22:43:21.13 ID:OcwQl7p80
「そんな!」フネが眉根を寄せた。「皆どうかしてますよ、家族を疑うなんて! これは外部の人間の仕業に決まっていますよ」

「違うわ」サザエは首を振った。「タラちゃんも、ワカメも、首に痣があったでしょう? ふたりとも絞め殺されていたのよ。殺すだけならそれで十分じゃない。なのに、タラちゃんはその上から刃物で、ワカメは死体に水をかけられていたのよ?」

「だからって」
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89: ◆5o0gtk7tVI[saga]
2016/05/02(月) 23:29:55.46 ID:OcwQl7p80


正常からは大きく逸脱していた。そんな精神状態だった。が、それでも睡魔は確実にやってくるし、だからこそ休息を取る必要があった。

四人は、それぞれの部屋に引き上げて睡眠をとることにした。
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90: ◆5o0gtk7tVI[saga]
2016/05/02(月) 23:32:28.53 ID:OcwQl7p80
まず、一番奥に波平が部屋を取り、ワカメとカツオの寝室は空き部屋になって、その隣にマスオが入った。そして次にサザエ、最後にフネという形だった。

それにしても、なんという部屋の数だろう。

「そういえば、わたしたちの他にも、伊佐坂先生はたくさんのお客様を招待していたみたいだね」
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91: ◆5o0gtk7tVI[saga]
2016/05/02(月) 23:38:43.94 ID:OcwQl7p80
四人はそれぞれの部屋の前に立った。波平とマスオを隔てる空間の虚しさが際立っていた。そこにあったものは、間違いなく家族の宝であったのに!

「わかってるとは思うが、こうなった以上、自分の身は自分でも守るしかない」波平は自室のドアを見つめていた。

「わかりました」マスオが頷いた。
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92: ◆5o0gtk7tVI[saga]
2016/05/03(火) 00:27:26.98 ID:BtC+c+Xt0





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93: ◆5o0gtk7tVI[saga]
2016/05/03(火) 00:28:53.43 ID:BtC+c+Xt0



夜が過ぎ、朝になったが、島を照らすはずの太陽は、雲の上に眠ったままのようだった。かわりに、シャワーのような豪雨が風に乗って窓を叩いていた。

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