過去ログ - サザエ「そして誰もいなくなったのね」
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97: ◆5o0gtk7tVI[saga]
2016/05/03(火) 01:00:08.84 ID:BtC+c+Xt0



波平が見つかったのは、砂浜の、波打ち際だった。

波平は雨に打たれ、波にもまれながら、釣られた魚のように砂浜に打ち捨てられていた。

威厳ある、良き父であった波平の、そのゴミのような様は、かろうじて残っていた生者の希望のようなものを粉々に砕いた。

フネとマスオは、最後に残ったほんの細い糸で結束し、波平を海から遠ざけた。

波平の身体は冷えきり、顔は青ざめていた。顔は浮腫んでいて、体中の細胞がすべて死んでいるようだった。

もう体力も気力も尽きかけていた二人が、波平を館まで運ぶのは不可能だった。波平は二人の手を離れ、雨で沼になった砂浜に転がった。

二人は言葉をかわさずに、館へ向かって歩き始めた。屍は置き去りにされた。


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