過去ログ - 幸子「ドリーム・ステアウェイ」 みく「イントゥ・ヘル」
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18:名無しNIPPER[saga]
2016/04/23(土) 01:24:45.48 ID:Cr/EWX4nO
 前川みくが輿水幸子に飛び付き、彼女を地面に引き倒した――それと前後し、先程まで幸子の頭部が存在した空間を、拳大の石が駆け抜けて行った。

「……! だっ、誰ですか、なんてことするんですかっ!」

「あっちゃー、外しちゃった★ 一人だったら倒せてたのになぁ」

 立ち上がり、怯えたように周囲を見渡せば、物陰から現れたのは、髪を派手に染めた女子――城ヶ崎美嘉。
 その物言い、手にまだ残る石を見れば、今の投石の犯人が誰かは明確だ。

「た、たおっ……美嘉ちゃん、何言ってるにゃ!?」

「何って、分かってるでしょ? アンタ達に願いがあるように、アタシも叶えたい願いがあるの」

 みくの抗議に返す言葉は、幸子、みくの両名には、まるで意味が通らないもの。だが美嘉は、この行為が当然であるように二人へ歩み寄りながら――制服の襟から背に手を入れ、鞭と、大振りのナイフを一つ、取り出した。
 右手に鞭――サーカスの猛獣を躾けるような、身の丈より長い鞭を、しんと唸らせて地を叩き。
 左手にナイフ――分厚いサバイバルナイフ、ところどころに刃の欠けがある一本を、手慣れた動きで逆手に構えた。

「アンタ達のシンデレラハート……命ごとだって良い、貰ってくよ!」

「に――逃げましょう、前川さんっ!」

 異常だ――幸子は、直感的に状況を理解する。
 逃げねば、本当に殺されるのだ。理由は分からない、必然性も分からない、だが動かねば死ぬ。
 足を縺れさせながらも立ち上がり、幸子は、美嘉と逆方向に走った――走ろうとした。

 足が、体を裏切り、幸子を、美嘉の正面へと導いた。

「――え、あ……あれっ、え、なんで」

「アタシのアイドル≠フ歌、すごいでしょ……じゃーね★」

 ざしゅっ。
 幸子の視界が、朱の一色に染まった。


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