過去ログ - 幸子「ドリーム・ステアウェイ」 みく「イントゥ・ヘル」
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◆.nnFO3p0tfz9
[saga]
2016/04/26(火) 16:39:31.62 ID:bET4RgXZ0
「あら……美嘉ちゃん、来てくれたわよ」
「バッチリ見えてる、オッケーオッケー」
未だに楓と美嘉は背中合わせに立っていたが、幸子が姿を見せたのは、美嘉が見ている側の廊下だった。
体の半分は曲がり角に隠し、顔を傾けて、戦闘中の楓とあいの様子を盗み見ているが――
「こっ、困るんですよ! 訳の分からない事に巻き込まれたと思ったら、殺されそうになって、引っ張り回されて、何なんですか!? 何で勝手にやられそうになってるんですか!?」
「……はぁ?」
敵である美嘉を呆れさせる程、その物言いには覇気が無かった――臆病者の、泣き言だった。
「だ、だいたいこのカワイイボクが、あんな人殺しに狙われなきゃいけないのがおかしいんです……! だから、ほら、ちゃんと守ってくださいよ、ねえ!? ちょっとくらい役に立ってくださいよ!?」
「あいつ……――」
あくまでも安全な物陰に隠れながら、戦う者を批難する言葉。それだけでも美嘉を苛立たせるには足りたのだろうが、人殺し≠ニの――おそらくは美嘉を指すのだろう蔑称。それが尚更に、美嘉の怒りを掻き立てる。
と、同時に。
これは好機でもあるのだと、思考に残る冷徹な部分が認識した。
敵の残響≠ヘ程無く消えるだろうが、然しアイドル候補――シンデレラ≠仕留める方が、より確実である。事実、過去の美嘉の経験によれば、残響≠ェ消えても暫くシンデレラ≠ェ残っていた例はあり、その逆は無かった。
増してや、今、美嘉が見据える敵は――戦う覚悟も持たず、他者を蹴落とす覚悟も持たず、それはきっとつまり、そうまでして叶えたい望みさえ持たない者――哀れむ余地の無い敵だった。
家庭科室から調達した包丁を携え、美嘉が往く。怯えなど無く、歴戦の戦士の如く堂々と。
その視線の先の獲物は、射竦められたように身を縮め、
「ひ――ひゃぁ、あっ!? こ、来ないでください!」
これまた情けない悲鳴を上げつつ、後ずさりを始めた。
無論、美嘉がそれを見逃す筈が、逃亡を許す筈が無い。
「楓さん!」
「ええ」
東郷あいを腕の中に捉えた高垣楓が、ほんの一瞬、肩越しに振り返って背後に視線を飛ばした。
その一瞬で楓は、幸子を認識≠オ、干渉≠ノ成功する。
動くな≠ニ。
一歩も動かず、ただされるがままに殺されろ≠ニ。
幸子の目が、胡乱に濁った。
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