15: ◆kbUNpGyKq6
2016/05/09(月) 00:59:13.07 ID:mfzAERao0
運転席に目をやると運転手さんもこちらをチラリと見た後、深く頷いた。
「私はかれこれ30年間無事故無違反です。お任せください」
微笑みながら宣言され、不思議と安心感を覚えた。運転手さんはさらに続ける。
16: ◆kbUNpGyKq6
2016/05/09(月) 01:00:21.56 ID:mfzAERao0
詳しく話して良いものか判断がつかず、隣を見るとプロデューサーがすかさず話し出した。
「ほら、最近このあたりもたまにテレビで紹介されるようなってきたでしょう?今回はあそこの温泉の特集があったんですよ」
「と、いうことはお二人はマスコミ関係のお仕事をされてるのですね」
17: ◆kbUNpGyKq6[sage]
2016/05/09(月) 01:01:12.55 ID:mfzAERao0
「ああ、どこかで見た顔だとは思いました。ええと......」
「高垣楓です」
プロデューサーが話したので、私も名乗ってみる。ファンになってくれる人はどこにいるか分からないし、何となくこのまま黙っているのも気まずい感じがした。
18:名無しNIPPER[sage]
2016/05/25(水) 11:48:03.87 ID:RZXxEEZkO
マダー?
19: ◆kbUNpGyKq6
2016/06/09(木) 01:22:07.84 ID:hZgTANfB0
到着したのは閑静な住宅街。運転手さんにお礼を言いつつタクシーを降りると、いたって普通の一軒家の前だった。プロデューサーに促されで玄関先に移動すると、中から賑やかな声が聞こえてきた。ガチャリ、と開いたドアから愛嬌のある顔が覗く。
「いらっしゃい!初めまして、Pの母です。息子がお世話になってます」
「は、はい。よろしくお願いします......?」
20: ◆kbUNpGyKq6
2016/06/09(木) 01:23:21.95 ID:hZgTANfB0
勢いよく捲し立てられて私がよく分からない返事をしていると、後ろから声が上がった。
「母さん、挨拶は中に入ってからにしよう。家の中だと分からないかも知れないけど、吹雪なんだ」
「あらごめんなさい。さ、入って」
21: ◆kbUNpGyKq6
2016/06/09(木) 01:24:40.76 ID:hZgTANfB0
「本当、遠いところよく来てくれました」
「高垣楓です。お世話になります」
少し緊張しつつ改めて挨拶すると、そこからは怒涛のトークタイムが始まった。
22: ◆kbUNpGyKq6
2016/06/09(木) 01:25:30.21 ID:hZgTANfB0
昨日今日と自分の事を話す機会が多いなぁと思いながらも、不思議と悪い気はしなかった。単なる慣れなのか、はたまたプロデューサーの実家にいるという事実がそうさせるのかはよく分からないけど。ちなみにプロデューサーは隣で黙ってお茶を啜っている。
「まあでも大丈夫。2〜3年もすればきっと冬でもやっていけると思う」
「......はい?」
23: ◆kbUNpGyKq6
2016/06/09(木) 01:26:20.48 ID:hZgTANfB0
突如話の流れが見えなくなった。それでもなおお母さんの話は止まらない。
「よくよく考えたらPの仕事場は東京だったわね。残念」
「残念......ですか?」
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