49: ◆9W6PAVDo7.[saga]
2016/05/03(火) 01:17:57.76 ID:rnj0xVuy0
一ノ瀬が持つ盾に、黒い何かが巻き付いて引っ張られようとしていた。彼女も抵抗するものの、ズルズルと引きずられていく。放浪者が盾を離すよう叫び、それに従って一ノ瀬は盾の取っ手と手首に固定したバンド部分を外すと、盾はそのままタクトの出入り口で塞がった。何度か音を立てながら中に入れようとして、諦めたのかゆっくりと盾を床まで下してから、触手らしきものがダクトの中に吸い込まれていった。
「…タコか何かか?」
放浪者がその触手の出方を伺っている間に、山中がクラーケンのフックを使って盾を引き寄せて一ノ瀬に渡す。
触手を持つ生き物といえば、海で生活する生き物がほとんどだが、この世界に至っては陸上で触手を持つミュータントが居ても、何ら不思議ではない。
一ノ瀬が持つ盾は、何の変哲もない中世時代の金属製の盾、骨とう品だ。少しガタがきているものの、手に入れてから幾多のゾンビや変異体の攻撃を耐えてきた頑丈な代物だ。それを装備しなおしてから、どうするかと一ノ瀬は不安げに聞いてきた。
「今は何とも言えませんね…。狭いところを習性的に好んでいて、盾は…、興味を持ってそれを奪い取ろうとしたように、私には見えました」
次に取るべき行動を判断する為、触手の分析を山中はしている間に、今度はゴウンという音の後がして、放浪者は気配が遠ざかるのを感じた。
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