75: ◆9W6PAVDo7.[saga]
2016/05/05(木) 01:04:31.66 ID:HOFeH0JT0
商業区北エリアの回収組で行っている情報収集は、かなり難航していた。無事な建物ではないと言うことは、外に野ざらしになっているのと同じことだ。あったはずの書類は紛失し、端末もショートしているか欠損しているものが多い。得たい情報を探す環境としては、最悪な状態だ。
素直に無事な建物が多い場所に活動を変えるべきかと平山も思ったが、今いるエリアは、調べている三葉、狸森での有名な企業が多く参入している場所でもあった。そう言う意味では、簡単に諦めていいとは言えない場所なのだ。
今いる建物の瓦礫が、ガラガラと崩れる。足元もひび割れていて、いつ本格的に崩れ落ちるかわからない状況だ。「大丈夫スかねぇ…」と呟くフェイは、きょろきょろと周囲を忙しなく見ている。
大丈夫な訳がないと言ったところで、この状態が改善されない。危険から手っ取り早く去りたいなら、手早く情報を収集するのが一番だろうと、平山は判断して経理室に向かう。
たどり着いたその部屋の中を見ると、真ん中に穴が開いていて、下の階層も同じように穴が開き、ここや各階層にあったであろう机や床が落ちていた。無事なのは、入ってきた扉のすぐそばで、落ちずに引っかかったデスクぐらいのものだった。
外れかと、少し落胆する平山に、下の様子を四つん這いでそろりそろりと穴のふちに近づいていたフェイが、声をあげる。
「平山さん、あれ見てほしいス」
平山も慎重に近づいて指さした先を見ると、そこには落下により壊れ、開いた金庫が見えた。
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