829: ◆9W6PAVDo7.[saga]
2016/08/26(金) 05:10:59.35 ID:yX+rl4Sp0
2人がいる場所は、街の小さな診療所のようなところで、その待合室の中だ。処方薬はなくても消毒液といった物資が残っている可能性で探索したのが、恐らく仇になったのだろう。高い確率で生存者と思われるその足音も、それらを求めて入ってきたと考えられるからだ。
井門から預けられたマグナムを、平山はゆっくりを抜き取る。彼女の持つブラストシューターでも、その気になれば生きた人間も殺すことができる。だが、視覚的な抑止力の意味では、今の時代であっても銃を突き付ける方が確実なのと、必要であればそのまま引き金を引くだけでいい。
相手が待合室から事務室に入ったのを確認して、平山だけ出入り口から物陰になる位置から一気に飛び出す。やはり足音の小隊は生存者で、事務室の中に少し入ったところにまだ背を向けて立っていた。動くなという言葉と同時に銃を突き付けながら、視線は相手から逸らさず足で椅子を蹴り飛ばすことで、事務室の出入り口を移動させる。相手が飛びかかって銃を奪われないための考慮だ。
生存者が後ろを向いたままなのを確認して、一瞬だけフェイに目配せする。もし、平山に何かあった時、彼女がバックアップすることになる、気を抜くなという意味を込めてだった。
「ゆっくりこっちを向いてもらおう」
相手はこの状況だと言うのに、わざとらしく大きなため息をついてから、平山の指示通りに振り返ると。
「…佐田さん…!?」
彼女の知り合いがそこに立っていた。
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