過去ログ - これから日記を書く 五冊目
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869: ◆9W6PAVDo7.[saga]
2016/09/01(木) 05:07:48.23 ID:SaoHTReK0
寒空の中、佐田は拠点内の道路に置かれたベンチに腰掛けて、ぼんやりとしていた。その姿をどこからか見たのか、平山が彼に近づいてその横に座った。

会話はない。佐田は気難しく話すのが得意ではないし、平山もどちらかと言えば話は聞き手に回るタイプ。だが、それをしなかったとしても、佐田から出ている雰囲気は知り合いが側にいることでの、安堵のようなものは感じられた。

「規模は小さい。だが、私達がいたところよりは、上等だな」

最低でも1日1回の食事が出され、警備組とADSPにより生み出されたロックとサーチがいることで、安全性が高い。そして探索によって回収した物資も程よくあり、畑や狩猟による自給もされている。何か余程のトラブルがなければこの勢力が無くなることは、佐田も想像できなかった。

その上で、考えているのは残るか否かの部分。ここは略奪といった外道じみた行為はしておらず、メンバーが誠実なのもわかる。加えて、元メンバーであった平山とフェイもいて、出ていく理由はないようにも思える。

しかし、やはりどこか引っかかるのは、今、目の前で警備をしているスライムや、生物兵器と聞かされた風虎と、それ以外の惨劇前では常識外の存在も、当たり前にいられることだ。

それはここのリーダー、放浪者の気質が反映されているとも言える。全てを受け入れられる、言うならば器量と言ったものだろうが、それにしてもやはり異常ささえ感じられる。それが、どうすべきか佐田が考えあぐねているところだった。

「私もそう思います。慣れれば、いいところです」

そうか、と呟くように返す。その言葉は、言うなら平山も同じような違和感が一時はあったのだろうなと、佐田は察することができた。


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