884:ブレイクタイムでもなく本編に関わりは多分ないと思う幕間 ◆qpy8JxeyQs[saga]
2016/09/04(日) 17:58:26.17 ID:moA7GbXH0
「貴様らそこまでだ!」
略奪者が生存者を襲う一幕に、水を差すような大声が響く。何事かと略奪者がそちらを向くと、だがそこには誰もいない。
「ふん、どこを見ている!」
上を見る、そこにはどうやってそこに乗ったのか、壊れかけた街灯の上に何かがいた。光沢のある赤いライダースーツに装飾を施したものを着、顔は笑っているような鉄仮面を着用している。緑色の髪のようなものは長く、股下まで伸びている。武器は所持していないようだが、自信をうかがわせるように両手を組んで含み笑いをしている。仮面越しに聞こえる声はややくぐもっており、性別は判断できない。
異常が正常化しているこの世界であっても、まともじゃない人間は珍しくない――そもそもすべて異常かもしれない――が、その人間はその上で異質だった。襲われていた生存者すらも、略奪者と一緒に形容しがたい表情で見ている。
「このような世界でも、弱きをくじくもの、このファイナリティが許さん!」
その人間は素手だった。対峙している略奪者は、刃物などの近接類が目立つものの、拳銃を持った者もいる。虚を突かれたのならともかく、今どきヒーローもどきに酔って正々堂々と向かってくる相手など、ずるがしこくそして姑息な手段で物資を奪ってきた略奪者からすれば、温く感じられただろう。
「我が、正義の鉄槌を食らうが良い!」
言葉と同時に突っ込んでくる相手に、距離的に近い2人の略奪者が殴りかかる。慣れた連携、愚かな相手、その認識だからこそ突ける虚もあったが、そのファイナリティは彼ら以上に場慣れしていた。
ファイナリティはその内の1人に素早く足を払い、地面に体が叩きつけられる前に両足を掴んで振り回し、後方で固まっている連中に投げ飛ばした。それに驚いている残った近くの1人に対して、後ろから腰部分から前に手を前に出して掴んだ後、そのまま同じように反り返って後方に投げ飛ばす。
時間にして10秒も経っているか怪しいところで、仲間が2人やられ、しかもその仲間を投擲されてまともに受けた他のメンバーも負傷した。考えを改め、銃を持つ略奪者がファイナリティにそれを向けようとした時には、飛びかかってきたファイナリティの両足が、彼の両足を挟まれ、次の瞬間に体をひねった勢いで地面に叩きつけられる。
そのほかの略奪者も、ダブルラリアット、パワーボムといったプロレスで多く見られる技を受けていく。リングなどではない、それこそアスファルトの壁面に叩きつけられるダメージは、当然尋常ではなくしばらくして聞こえたのはうめき声だけだった。
「ふん。これに懲りたら改心するのだな!」
満足げに周囲を見渡すと、襲われていた生存者は姿を消していた。かなり残念な気持ちにファイナリティはなったが、自分の目的である、弱き者を助けることを達成したことで、満足することにした。
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