過去ログ - これから日記を書く 五冊目
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926: ◆9W6PAVDo7.[saga]
2016/09/09(金) 04:00:07.08 ID:vrRtHUcG0
「へぇ、連続で客が来るとは珍しいな」

グラスを磨いていた保安官がそう言って迎えたお客は、昨日放浪者に連れられてきていた佐田という、彼から見ても不愛想な男だった。保安官の言葉を無視するように、ウィスキー、ストレートとだけ注文を佐田はいれる。

それとは対照的に、はいよと馴染みやすい歯を出した笑みを浮かべながら答えた保安官は、慣れた手つきで酒をグラスに注いで佐田の前に出した。

佐田はグラスを手には持つが、すぐに口にはつけず、ゆっくりと中の液体が回るように動かす。視線はそのウィスキーに注がれていて、会話が起きる様子はない。

しばらくしてから、一口分だけ口に入れて、匂いを楽しんでから佐田は飲み込みカウンターの上に置いた。

「なんでお前さんは、拠点に居ないんだ?」

会話の起点としては唐突だったが、拠点が安全な場所と認識している佐田には疑問だった。この周辺も、バリケードが張り巡らされているが、都市内にあることから安全とは言い難いものだ。

「なぁに。1人とか少人数でいた方が気は楽だからな」

今度は豪快に笑いながら、自分の分の酒を入れて保安官も呑み始める。その答えをもらった佐田は、仏頂面を崩さないまま、しばらく置いてからウィスキーもう一口分だけいれた。

「お前さんはどうなんだ? 拠点(あそこ)からは出るのか?」

佐田のウィスキーを口に入れる動作が、その発言で中途半端に止まり、そのままカウンターに戻してから」

「わからん」

シンプルでありながら、かつ、自分の気持ちをストレートに答えた。


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