941: ◆9W6PAVDo7.[saga]
2016/09/12(月) 04:53:31.90 ID:3oCEBb080
「ふん。これはなかなか難儀しそうだな」
蒲谷が作製した図面と、その現場を見ながら佐田はボヤいていた。拠点と庭の間に建てられた、壁と屋根はどこで手に入れたのかトタン板で、柱は素人ながらに加工した木材。ある程度簡単な勉強はしてあるだろう作りにはなっている。
少なくとも、建設をしたことがない人間が作れるようなものではない。蒲谷のセンスは光る。が、外観上は使っている素材のせいか少々ボロボロな小屋に映る。
この横に、例のシャワー用の貯水タンクを用意する訳だが、この小屋の上に直接タンクを置いた場合、今の強度で耐えられるかが問題になる。どのみち作る土台の上にタンクを置く案が最初だったが、屋根に置く案を佐田が提案してどう改良すべきか検討しているのだ。
「師匠、ここにおられたのですか」
呼びかけられ佐田は振り返る。平山がなぜか心配そうな様子で近づいてきていた。いつも通り、ぶっきらぼうにどうしたと言葉に対して、彼女は放浪者が拠点に残るのかどうか確認したいと言っていたと返ってくる。
「残る気があるから、この作業を手伝っていると言っておけ」
忙しいと言う様子で手で軽く追い払う仕草をしてから、また小屋を見て、中に入っていく。平山は、彼らしいなと思いながら、そのことを報告しに放浪者の下へ戻っていった。
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