960: ◆9W6PAVDo7.[saga]
2016/09/14(水) 02:06:21.36 ID:0zc7yoLU0
あまりのことに、兵士は反応ができないまま次に見えたのは、爆発で吹き飛んだり、次々と飛んでくる矢や瓦礫に襲われたり、彼と同じように状況が理解できずゾンビにも襲われる仲間達の姿。
反射した明かりが目に入り、瞬間そちらに目をやると、今度は空中にサーフボードを乗った人間が後続の輸送ヘリに向かっていき、何かを撃ち込む。装甲を、時にはコックピットの防弾ガラスをあっさり破って内部を傷つける。操縦不可になったのか、パイロットがやられたのか、どちらにしてもここにいるエリアのヘリは、全機墜落という運命を辿った。
兵士は見ている光景を信じることができないでいた。この短時間で壊滅の恐れがあると、誰が考えたのか。相手がレジスタントだとしても、こんな電光石火を可能にするような相手。そもそも、この墜落自体が待ち伏せだったのか、混乱している頭で考えている間にも、目の前では更に灰色の二足歩行の狼が、持っている大きなハンマーで仲間を叩き潰している。子供が変形した腕で仲間の首を貫き、坊主が防弾チョッキごと杖で胸を貫く。
仲間も反応しているが、大きな盾を持つ女に銃弾が防がれ、その後ろから飛び出した触手を持つ犬が足をからめとられ振り回され、そして放り投げられた。その先に今度は羽を持つ犬の様な姿をし、鳥の頭をした動物が右手を振り下ろされる。直撃したもはやそれという状態になった仲間は、火を纏うヘリの残骸にめり込んだ。
兵士は理解できなかった。いや、理解するには全て異常が過ぎた。許されたのは、精神に異常をきたすこと。光景を否定する為に、発狂の声を上げようとして、最期に見たのは自分の胸から飛び出す刃だった。
「…お前でラストだな」
聞き覚えはなかった。視界が暗くなっていき、兵士は思うこともなくなった。
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