過去ログ - 藤原肇「しんしんと、あたたかい夜に」
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19:名無しNIPPER[saga]
2016/04/30(土) 00:17:32.52 ID:O3uXh0RPo
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福島を抜ける直前の駅で、列車はとうとう完全に止まってしまった。
車内放送によると降雪のため運転再開の見通しは立っていないらしい。
しばらく慌ただしそうに歩き回っていた乗務員さん方の足音も、今は落ち着いている。

 「……」

 「……」

特にする事も無いので、俺はただ黙って窓辺に座っている。
向かいの肇もまた何をするでもなく、ご機嫌そうに笑みを浮かべていた。

 「暇だな」

 「そうですね」

 「……肇は、そうは見えないが」

 「そうでしょうか」

また上機嫌そうなその呟きに、何度目かの苦笑で返す。
一つ息をついて、数時間ぶりに立ち上がった。
先程の放送によれば、乗降扉は手動になっているらしい。

 「外、出てみるか」

 「良いですね」

 「岡山に雪は降るのか?」

 「もちろん。こちら程ではないですけれど――」

ドアが軽快な音と共に開く。
広がった風景に、肇の言葉が途切れた。


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