過去ログ - 藤原肇「しんしんと、あたたかい夜に」
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2:名無しNIPPER[saga]
2016/04/29(金) 18:52:33.76 ID:rKPg5CH/o


すっかり冷えきった唇には熱過ぎた。


思わずカップを揺らした俺を目にして、さもおかしそうに肇が笑い出す。
この上なく楽しげな様子に、俺も苦笑いを返すしかなかった。

 「……猫舌って訳じゃないんだ」


 「まだ何も言ってませんよ?」

ミルクティーを一口啜って、温かいですね、と肇が息をついた。
今度は油断するなよと舌に言い聞かせ、俺ももう一口。
渋味と酸味を抑えた苦めのブレンド。
馴染みの無いチェーン店だったが、存外に好みの味だった。

 「Pさん、ミルクもお砂糖も入れないんですね」

 「甘いのをよく食べるからな。健康には、なけなしの気を遣ってる」

 「苦くありませんか?」

 「苦い」

俺の答えを聞くと、肇が頬に指を当て不思議そうに考え込む。
寒さで赤らんだ頬が、指先に触れた部分だけ白く染まった。


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