過去ログ - 藤原肇「しんしんと、あたたかい夜に」
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27:名無しNIPPER[saga]
2016/04/30(土) 12:45:14.63 ID:O3uXh0RPo

分厚いコートのボタンを留め直すと、車掌は駅舎へざくざくと歩いて行った。
まだまだ運転再開までは掛かりそうだ。

 「……」

口笛を吹きながら、雪の中で小さくなっていく車掌の背中を眺める。
しんしんと雪の降りしきる世界と、賑やかに歌の響く世界。

 『息で曇る窓の硝子拭いてみたけど――♪』

それぞれが、それぞれのするべき事をして、思い思いの夜を過ごしている。
普段の忙しない日々とは遠く離れた世界に居るようで、柄にも無く心が躍っていた。
明日からの憂鬱なスケジュール調整も、今だけは雪の中に埋めてしまおう。

 「……はは」

食った分は働かないとな。


口笛に加えて打った、思いのほか大き過ぎた手拍子に、俺は慌てて誤魔化すしかなかった。



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