過去ログ - 藤原肇「しんしんと、あたたかい夜に」
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33:名無しNIPPER[saga]
2016/04/30(土) 16:36:34.36 ID:O3uXh0RPo

 「――よし」

手がかじかみ始めた頃、ブログ用の記事の下書きが完成した。
雪景色と、乗客と、肇の笑顔とを飾る事無く並べただけだ。


だが、それで充分だろう?


 「……」

一瞥したベッドから聞こえるのは穏やかな寝息。
仕事帰りだというのに無茶をさせてしまった。後で埋め合わせをしないとならないな。
今はただ、どうか存分に休んでほしい。

 「さて」

やる事もやるべき事も無くなってしまった。
何をしようか少し考えて、ふと思い出す。

 「……たまには、いいか」

途中に立ち寄った古本屋で買い求めた文庫本を鞄から取り出す。
題すらろくすっぽ確認せず適当に摘み上げた一冊だった。
鷺沢さんの耳に入れば静かに怒られそうな選び方だったが、まぁ暇潰しにはなるだろう。
妙な題が飾る表紙をめくる。都合の良い事に第一巻らしい。
ジャンルはいわゆる青春小説だった。
毛布を身体に引っ掛けて、ページをめくっていく。

 「……」

転校してきた主人公は誰よりも早く登校し、誰よりも遅く下校する。
雨の日に限りそそくさと帰宅する彼には、どうやら秘密があるらしく――


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