過去ログ - 仁奈「人間の気持ちになるですよ」
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131:名無しNIPPER[saga]
2016/05/09(月) 21:05:16.24 ID:McxO4jKM0
トイレの外へと出たとき、いやに頭は冷静に働いていた。
このままでは――どのみち追い付かれてしまう。
次掴まれば……きっと。
132:名無しNIPPER[saga]
2016/05/09(月) 21:12:06.22 ID:McxO4jKM0
振り返った先にいたのは、もはや“人間”ではなかった。
あれは……人間の皮を被った別のナニカだ。
おぞましい叫び声が私の耳を劈いた。
133:名無しNIPPER[saga]
2016/05/09(月) 21:17:58.84 ID:McxO4jKM0
一度だけではなかった。
何度も、私はその鈍器を振り上げた。
その恐怖を打ち殺すかのように。
何度も。何度も。
134:名無しNIPPER[saga]
2016/05/09(月) 21:23:24.79 ID:McxO4jKM0
「……」
体全身から熱が消え去ったかのように、私の体は冷たかった。
ガコン、と手のひらから消火器が零れ落ちた。
135:名無しNIPPER[saga]
2016/05/09(月) 21:29:33.09 ID:McxO4jKM0
「ええと、これですかね」
図書館の受付をしていた女性が、私に本を手渡してきた。
そのタイトルを眺め、私は「ええ」と相槌を打った。
136:名無しNIPPER[saga]
2016/05/09(月) 21:33:28.51 ID:McxO4jKM0
あの日のこと、と言えば、あの夜の『おぞましい』出来事になるのだけれど――正直に言えば、あの日のことを私はあまり覚えていなかった。
覚えていない、というのは語弊を招くかもしれない。
確か……あの後、私は事務所へと戻り――彼が入ってきた裏口から駐車場へと回り、ビルの外へと抜け出したのだ。
137:名無しNIPPER[saga]
2016/05/09(月) 21:38:01.52 ID:McxO4jKM0
「……」
なぜ、今日私が図書館に来たのか。
それは……。
138:名無しNIPPER[saga]
2016/05/09(月) 21:45:04.42 ID:McxO4jKM0
あの夜、私は彼を殺してしまったと思っていた。
しかし、それは杞憂だった。彼は生きていた。
今は、たしか病院で入院しているとの話をちひろさんから聞いた。
139:名無しNIPPER[saga]
2016/05/09(月) 21:48:19.14 ID:McxO4jKM0
『警察の人がね、言ってたのよ。知ってる? ……反社会性パーソナリティ障害、ってそんな病気のこと』
あまり聞き覚えのなかった私は首を横に振った。
140:名無しNIPPER[saga]
2016/05/09(月) 21:55:37.08 ID:McxO4jKM0
……。
反社会性パーソナリティ障害。
私は、ぼんやりとしていた頭を開かれた本のページに向ける。
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