過去ログ - 仁奈「人間の気持ちになるですよ」
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135:名無しNIPPER[saga]
2016/05/09(月) 21:29:33.09 ID:McxO4jKM0

「ええと、これですかね」

図書館の受付をしていた女性が、私に本を手渡してきた。
そのタイトルを眺め、私は「ええ」と相槌を打った。
以下略



136:名無しNIPPER[saga]
2016/05/09(月) 21:33:28.51 ID:McxO4jKM0

あの日のこと、と言えば、あの夜の『おぞましい』出来事になるのだけれど――正直に言えば、あの日のことを私はあまり覚えていなかった。

覚えていない、というのは語弊を招くかもしれない。
確か……あの後、私は事務所へと戻り――彼が入ってきた裏口から駐車場へと回り、ビルの外へと抜け出したのだ。
以下略



137:名無しNIPPER[saga]
2016/05/09(月) 21:38:01.52 ID:McxO4jKM0

「……」

なぜ、今日私が図書館に来たのか。
それは……。
以下略



138:名無しNIPPER[saga]
2016/05/09(月) 21:45:04.42 ID:McxO4jKM0

あの夜、私は彼を殺してしまったと思っていた。
しかし、それは杞憂だった。彼は生きていた。

今は、たしか病院で入院しているとの話をちひろさんから聞いた。
以下略



139:名無しNIPPER[saga]
2016/05/09(月) 21:48:19.14 ID:McxO4jKM0

『警察の人がね、言ってたのよ。知ってる? ……反社会性パーソナリティ障害、ってそんな病気のこと』

あまり聞き覚えのなかった私は首を横に振った。

以下略



140:名無しNIPPER[saga]
2016/05/09(月) 21:55:37.08 ID:McxO4jKM0

……。
反社会性パーソナリティ障害。
私は、ぼんやりとしていた頭を開かれた本のページに向ける。

以下略



141:名無しNIPPER[saga]
2016/05/09(月) 22:03:30.24 ID:McxO4jKM0

サイコパス――。
その項目に目が移る。

「サイコパス……ってどこかで聞いたことがあるような……」
以下略



142:名無しNIPPER[saga]
2016/05/09(月) 22:07:11.06 ID:McxO4jKM0

「あんまり……参考にはならなかったわね……」

もしかすると、彼の中に潜む何かが分かるのかもしれないと思っていた。
けれど、それは憶測のまま終わってしまった。
以下略



143:名無しNIPPER[saga]
2016/05/09(月) 22:09:54.46 ID:McxO4jKM0

「……?」

じっとその辞表を眺めていた時、置いていた本のページがぺらりと捲れた。

以下略



144:名無しNIPPER[saga]
2016/05/09(月) 22:12:16.03 ID:McxO4jKM0

「……」

私は事務所の扉の前に立ち尽くしていた。
早くこの場から去ってしまいたいとそう思っていた。
以下略



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