過去ログ - 仁奈「人間の気持ちになるですよ」
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69:名無しNIPPER[saga]
2016/05/07(土) 01:19:15.79 ID:pUMMe/ll0
それはあまりにも唐突な呼び出しだった。理由も書かれておらず、何の目的かも定かではなかった。
「……どうしようかしら」
70:名無しNIPPER[saga]
2016/05/07(土) 01:24:49.90 ID:pUMMe/ll0
結局30分ほど待っても連絡が来なかったために、私はメールの言う通り事務所へ向かうことを決めた。
雨は既に上がっていたものの、月夜に照らされた地面はテラテラと濡れていた。
シャワーを浴びたばかりだったためか、雨で冷え切った外の空気は肌に突き刺さるかのように冷たかった。
71:名無しNIPPER[saga]
2016/05/07(土) 01:27:56.48 ID:pUMMe/ll0
事務所のある高層ビルの前に辿り着いた時、そこに立っていた警備の人が不審げな顔でこちらを覗いてきた。
「あの、私……こういうものです」
72:名無しNIPPER[saga]
2016/05/07(土) 01:30:26.83 ID:pUMMe/ll0
ビルの中はいつもの煌びやかな雰囲気はなく、暗がりにシンと静まった空気だけが漂っていた。
私はその空気に耐えられず、思わず身震いをした。
「……早く行かないと」
73:名無しNIPPER[saga]
2016/05/07(土) 01:36:25.13 ID:pUMMe/ll0
「エレベーターは……止まってるみたいね」
上の階層へと向かうためには、どうやら階段を使わなければならないようだった。
疲れた体に鞭を打ち、私はエレベーターの隣にある階段に足をかける。
74:名無しNIPPER[saga]
2016/05/07(土) 01:41:41.55 ID:pUMMe/ll0
真っ暗な空間は、不思議と頭を冴え渡らせるようで、私の頭はまたぐるぐると巡っていた。
ふと、ぼんやりと仁奈ちゃんの顔が浮かび上がってきた。
ぐにゃぐにゃとした彼女の幻影が、私の頭の中でけらけらと笑っていた。
75:名無しNIPPER[saga]
2016/05/07(土) 01:49:25.90 ID:pUMMe/ll0
彼女はごそごそと懐から、『ネコのぬいぐるみ』を取り出すと――その背中をブチブチと音を立てて開いた。
『仁奈、ネコの気持ちになるですよ』
76:名無しNIPPER[saga]
2016/05/07(土) 01:56:57.73 ID:pUMMe/ll0
事務所へと続く階に差し掛かった時、突如としてポケットの中のスマホが震え出した。
もしかして――と、私はすぐさまポケットを弄るとスマホを取り出した。
77:名無しNIPPER[saga]
2016/05/07(土) 01:59:35.56 ID:pUMMe/ll0
ここまで。まだ少し続きそうです。
にんげんっていいな。
78:名無しNIPPER[sage]
2016/05/07(土) 02:04:14.79 ID:4kvNeS2Bo
乙、惹き込まれる。
にんげんっていいな
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