過去ログ - 凛「おとぎ話の」卯月「王女でも」
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11: ◆K1VRYfmMqw[saga]
2016/05/03(火) 04:43:59.19 ID:1rU0iPMQo
  
 いただきます、をしてから最初の一口目は、大事なんです。 
 私の、じゃなくて、凛ちゃんの最初の一口目。 
  
 気づかれてないと思うんだけど、美味しいものを食べる時の凛ちゃんって……ちょっと、ゆっくりで。 
12: ◆K1VRYfmMqw[saga]
2016/05/03(火) 04:44:40.38 ID:1rU0iPMQo
  
 「美味しい」って事を知っていても、 
 スプーンでゆっくり掬って、恐る恐る、って感じで口に運んで。 
  
 はむっ、て口を閉じる。 
13: ◆K1VRYfmMqw[saga]
2016/05/03(火) 04:45:09.28 ID:1rU0iPMQo
  
 えっと、私、凛ちゃんの「美味しい」っていう顔を見るの、とっても好きなんです。 
  
 例えば、えっと…この間お夕食を凛ちゃんの家でご一緒させて貰った時だとか。 
  
14: ◆K1VRYfmMqw[saga]
2016/05/03(火) 04:45:37.65 ID:1rU0iPMQo
  
 本当に美味しいものを食べた時、言葉よりも先に、ふっ、と小さく息を吐いて。 
 その瞬間、隣に居られてよかったな、って思うんです。 
  
 いつも。 
15: ◆K1VRYfmMqw[saga]
2016/05/03(火) 04:46:06.75 ID:1rU0iPMQo
  
 <凛> 
  
 いつも。 
 気づけば、私たちは甘いものばかり食べている。 
16: ◆K1VRYfmMqw[saga]
2016/05/03(火) 04:46:37.59 ID:1rU0iPMQo
  
 パフェにケーキ、クッキーにチョコレート。 
 卯月と二人でいる間に、アイドルじゃなくて”女の子”の私が作られていっているみたいで。 
  
 甘いものを口実に、二人の世界を作ってる、ってことなのかもね。 
17: ◆K1VRYfmMqw[saga]
2016/05/03(火) 04:47:04.76 ID:1rU0iPMQo
  
 そうやって……、甘くて・冷たくて・すぐに溶けてしまうものを。 
 今日も、また次も、って一緒に分かち合うんだろう。 
  
 いつか、この関係が溶けてなくなってしまう時まで。 
18: ◆K1VRYfmMqw[saga]
2016/05/03(火) 04:47:31.70 ID:1rU0iPMQo
  
 ずっとこうして居られるとは思ってない。 
 望んでは、いるんだけど。 
 今は同じ方向を向いているから、同じ道を歩んでいるから、こうやって一緒に居られるんだ、って。 
  
19: ◆K1VRYfmMqw[saga]
2016/05/03(火) 04:48:11.05 ID:1rU0iPMQo
  
 卯月は皆から好かれている可愛い女の子だから、いつかちゃんとした王子様が現れるって思ってる。 
 その時、私は? 
  
 ”仲の良かった友達”として、彼女の隣に立っているのかな。 
20: ◆K1VRYfmMqw[saga]
2016/05/03(火) 04:48:46.27 ID:1rU0iPMQo
  
 それは、……嫌だ。 
 それだけは、嫌。だけど、 
  
 …いつまで、私は卯月の”一番”で居られるんだろう? 
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