18: ◆iIsZzNIzns[saga]
2016/05/08(日) 22:04:09.17 ID:GCfDBwrj0
一夏「どうする? あんたがその子を解放してくれるなら、こっちも離してやる」
一夏は微妙な力加減でゆるめることなく男Bの動向を観察する。
男B「生意気な野郎だ……。お前、素人じゃないな」
一夏「ただの学園生さ」
男B「なるほど。ということは、お前が“男で唯一ISを使える”といわれている――」
合点がいったという時、男の表情は明らかに変わった。
男B「織斑 一夏、か」
男は、ふん、と鼻でわらうと、物を見つめるように羽交い絞めている簪を一瞥する。
男B「いいだろう、先に離せ」
一夏「……だめだ、先にそっちが離せ」
しばらく、利害損失を計算しているような間があった。
下卑た笑みを浮かべて男は頷いた。
男B「ほら、行け」
簪「あっ……」
一夏と男Bとの間にピリピリとした緊張感が募る中、自由になった簪は一夏へと駆け寄り背に隠れる。
簪「あの……ありがとう……」
一夏「(――おかしい、さっきまでと明らかに雰囲気が違う)」
お礼の言葉に笑みでしか返す余裕がなく、そう直感してしまうほど、居心地の悪さを感じる。
もしかしたら、この男は、単なるチンピラの類ではないのかもしれないと思わせるただならぬ気配を一夏は感じはじめていた。
一夏は瞳を正面から見据えて対峙する構えで、いつ飛びかかられてもいいように膝を曲げる。
簪「誰か……呼んできます」
簪が走り去るのを待ってから男Aの首を掴んでいる力をゆるめた。ぱくぱくと陸に打ち上げられた魚のように口を動かして呼吸している。
男B「やれやれ、何を警戒しているか知らないが、俺はそいつを連れて帰りたいだけだぜ?」
一夏「……そうですか、それなら、俺もこのまま立ち去ります」
そこに、いささか憮然とした物が含まれていたとしても警戒色の消えない一夏には、しかたの無いことだろう。
生唾をゴクリと、喉を鳴らし神妙な面持ちに表情を変えていた一夏は怪訝そうな表情を浮かべてその場を後にした。
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