過去ログ - 飛鳥「ボクがエクステを外す時」
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105: ◆KSxAlUhV7DPw[saga]
2016/06/15(水) 00:58:02.25 ID:daPPk+Poo

「ひゃいっ!?」

 完全に不意打ちを食らった蘭子は目を白黒させながら身を竦めていた。
 あまり驚かせないでやって欲しい。でもここで蘭子が絡んでくる理由とは?

「ほら、ライブの後にトークする機会もあっただろ? お前達の相性の良さに、特に蘭子のファンからいろいろ寄せられててな。『新しい中二病の子キター!』『蘭子ちゃんの熊本弁が通じてる!?』『良い相方が見つかったね、おめでとう!』『新人ちゃん、どうか神崎蘭子を幸せにしてあげてください』とか、歓迎の声が来るわ来るわ」

 最後の蘭子を幸せにしてあげてとはどういう意味だ、気にしたら負けってヤツかな。
 すっかり蚊帳の外な幸子はふてくされていた。こればかりは同情の余地がある。

「……ボクだって蘭子さんの言葉、通じるようになったのに」

「幸子は自分のことばかり喋り過ぎたな。でも三人のライブがまた観たいって声もたくさん来てるから、いつかまた限定的に結成させるかもしれないぞ。でもその前に」

 彼は一旦溜めを作ってから、改めてボクと蘭子に向き直った。

「飛鳥と蘭子、二人にはユニットを組んでもらうことになった。あまりの反響に上もうるさくってな、早くデビューさせろってこの一週間ずっと人を馬車馬みたいに働かせやがって……お前達のためだからいいけどさ」

「と、友よ! それは真か!?(プ、プロデューサー! ユニット結成ってほんと!?)」

「嘘なんかつくか! それで、遅くなってごめんな。蘭子にこれ、返しておくぞ」

 彼が持ってきていたスケッチブック、蘭子がプロデューサー以外に中を見せたことがないというそれは、いつから彼に預けられていたのだろう。
 たしか本番前の最後のオフに、今は持っていないって言っていたような。その頃にはもう彼の手に渡っていたのか。

「蘭子のそれ、無駄にならずに済んだぞ。フェスに着させてやることは時間も足りなかったからさすがに無理だったけど、二人のユニット衣装としてなんとか採用してもらってきた」

「…………!」

 蘭子は感激のあまり声も出ないといった具合で、輝かせている瞳が口ほどに物を語っていた。
 そうか、蘭子が以前そうして貰った時のように、ボクら三人の衣装を描いて彼に提案していたのか。
 それをなんとか手配するために動いてて、だからあの日は幸子からの電話にも出られなかった?

「……そうだ、ボクらのユニット名は決まっているのかい?」

 名は体を表す。何よりも大事なことだ。
 誰が決めるものなのか知らないけれど、是非彼に決めて欲しい。彼ならボクと蘭子に相応しい名前をくれそうだから。

「まだ、かな。考えてはいるけど、決定はしてない。これも早く決めないとデビューさせられなくて急かされてるんだよなあ」

「友は、我等に如何なる名を授けるつもりか?(プロデューサーは、私達のユニットにどんな名前を付けてくれるの?)」

「内緒、にしない方がいいかなこれは。うーん、俺が考えているのは……ダークイルミネイト、っていうんだけど」

 ダークイルミネイト。
 さしずめ暗闇を照らす光、といったところか。それとも照らし出された闇?
 正しい解釈は彼の心にあるのだろう。いずれにせよ、ボクと蘭子に相応しそうな雰囲気は漂っている。闇を抱えていたボクらを光り輝かせた彼は、知ってか知らずかボクらのことをまたも言い当てるかのようだ。
 蘭子も名前が気に入ったみたいだし、何事も無ければボクもそれがいいかな、うん。


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