14:名無しNIPPER
2016/05/03(火) 22:58:49.22 ID:G1lrEIoLo
「首尾は上々、といったところか。比較できる判断材料がボクにはないから何とも言えないが」
「いや、正直かなり挑戦した人選だったけど何とかなるもんだ。でもそこはやっぱり同い年パワーもあるんじゃないか? もっとまとまりがつくまで時間かかると覚悟してたのに、驚いたよ。飛鳥のおかげかな?」
忙しくなった日々の合間、気まぐれに早く事務所へ訪れてみると、デスクで仕事に勤しんでいたプロデューサーの他に誰もいなかった。早く来すぎたか、それともセカイがボクらを引き合わせたのかな、なんてね。
三人での活動がメインとなってからというもの、彼と二人きりで落ち着いて話すのは久し振りだった。
もっとも、それ以前から彼が抱えていたアイドルはボクだけじゃない。ボクが周りのアイドルを気にしないようにしていたから、二人でいることを多めに感じていただけだったのだ。
彼といると、自然と鼓動が高鳴る。
新しい居場所をまたくれたから、どうにも期待してしまう。
「他の組み合わせがどうなのか知らないけれど、どうだい? 勝算のほうは」
「そうだなあ。よその情報は本番まで何も教えない方が面白いかと思ってさ。言わないでおいたけど、聞く?」
「お楽しみ、ってヤツだね。いいよ、ボクもそういう趣向は嫌いじゃない」
年齢別の対抗戦、そうは謳っても所詮はフェスティバル、お祭りみたいなものだ。特別に闘争心を掻き立てられるものじゃない。
しかし彼がボクを選んでくれたからには無様な姿を晒したくない。ついでに好成績を収められたら、その程度のスタンスにとどめている。
ボクを冷ますのも熱くさせるのもキミ次第、だろう?
「初めてユニットを組んでみてどうだった、ソロで活動した方が気楽だったりするか?」
「フフ、ついこの前まではきっとそうだと思っていたよ。まぁ、やってみるものだね」
「蘭子が『瞳』を持ちし同志よ、ってはしゃいでたな。あれを瞬時に理解するにはやっぱり素質がいるんだろうなあ」
「キミには素質がない、とでも? 蘭子に言わせればキミも『瞳』を持っているはずだ」
「ははっ、ないない」
あっさりと否定する彼に、ボクは違和感を覚えた。
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