過去ログ - 飛鳥「ボクがエクステを外す時」
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22:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 21:40:20.26 ID:+Oro3rOyo



「調子でも悪かったんですか? 体調管理もボクたちにとっては大切な仕事ですよ」

「……あぁ」

「永久に吹き荒ぶシヴァの息吹に魂を蝕まれているのなら、我がイフリートの欠片を授けよう(風の冷たい日が続いてるもんね、寒かったらホッカイロ使う?)」


 二人に心配をかけてしまっている。それだけ今日のレッスンは身が入らなかった。
 ボクの中で突如として起こった異変。一体何が原因なのか、つい正体を暴こうと意識が自身の奥底へと埋没していってしまう。
 始まりはどこなんだろう。きっかけは……?

「トレーナーさんから聞いたぞーお前ら。飛鳥、どうしたんだ?」

 おぼつかない手で帰る支度をしていると、背後からプロデューサーの声がした。
 今朝以来か……いつの間にこんな近くまで来ていたのだろう。

「どうもこうも、見ての通りさ」

 自分でもよく解っていないのに弁明は出来ない。言葉を濁すのに精一杯だ。
 そんなボクを彼もまた憂慮してか、いつになく真剣な表情をしている。こういったイレギュラーは誰にとっても迷惑でしかない。すぐにでも問題を解決しなくては――

「風邪でも引いたか……? 熱は?」

「……っ!」

 熱があるのか確認するためであろう、ボクの額へ振りかざされた手を反射的に一歩下がって避けてしまった。
 すかさず幸子がボクらの間に割って入る。

「プロデューサーさん、いくらあなたでもいきなり女の子の頭を触ろうとは感心しませんね。こんなにカワイイボクについやってしまうならともかく」

 彼女のことだから真意は汲み取りにくいけれど、ボクにはそれがボクを気遣っての抗議であると感じた。

「え……あ、すまん。馴れ馴れし過ぎたな……悪かった」

「いや、ボクは……」

 それぐらい構わない、と言いかけている自分を一旦、言葉ごと飲み込む。
 ボクはそういった馴れ合いを好むヤツだったろうか。目的が目的だし、彼に悪気がなかったのは明白にせよ、だ。
 本当に調子が悪いのかもしれない。不意を突かれたせいか、止まりかけた心臓が今は警鐘を鳴らすように鼓動を早めている。

「で、では我が、その身に帯びる熱き波動を推し量ろうぞ(じ、じゃあ私が飛鳥ちゃんの熱を測るね?)」

 こちらへ伸ばしてくる蘭子の手を、仕方なしにされるがまま受け入れた。思いの外ひんやりしていてなんだか気持ちがよかった。


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