過去ログ - 飛鳥「ボクがエクステを外す時」
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42:名無しNIPPER[saga]
2016/05/18(水) 21:51:48.81 ID:wEJbruLdo

「あの、まさか……!?」

「他にいないだろう? あー、どうぞ」

 ドアが開かれ、やはりそこにはゴシックロリータに身を包む少女が佇んでいた。

「ククク、求めに応じたこと、感謝しよう。……む、天に使いし者も参っていたのか(お邪魔しまーす! あれ、幸子ちゃんも来てたんだ?)」

「え、えぇ。あー、その、蘭子さんはどのようなご用件で飛鳥さんに?」

「我が同胞、飛鳥に真偽を問おうと機を図っておったのだ。同じく我が同胞の幸子の前ではあるが……世に宣布された魂の記憶であれば、うむ……(飛鳥ちゃんに聞こうと思ってたことがあってね。幸子ちゃんもいるけど、公式プロフィールにあることだし……いいかなあ?)」

「飛鳥さん、今のも飛鳥さんには通じてるんですか?」

 一人で勝手に悩み出す蘭子の隙を突くように、ボクへ耳打ちする幸子だった。

「それなりにはね。幸子はどうだい?」

「最後の方は全く意味がわかりません!」

 ボクも絶対的な自信があるかと問われれば微妙なラインだけれど、おそらくそんな感じじゃないかな。

「いいよ、蘭子。こっちに来て話してみてくれ」

 三人で囲むと手狭かもしれないな、このテーブル。
 おっと、ついこの部屋で誰かと食事することを前提に考えてしまった。その心配は次に体調を崩す時まで杞憂だ。
 いつもの顔ぶれが揃う。二人には他のアイドルとも親交があるだろうに随分落ち着いたものだ。フェスが終わりユニットが解散されても、ボクらの関係もまた期間限定にならなければいいのだが。
 そんなことを考えていると、蘭子は神妙な面持ちでボクを訪ねた用件を切り出した。

「我が同胞飛鳥よ、そなたも召喚の儀を執り行う……のか? 創造主となり、新たな世界を紡ぎし者、とあるが(飛鳥ちゃんって絵を描くの好き? 趣味に漫画を描くことってあったけど)」

 まさにそうしていたところだった、とは言わないでおこう。

「確かに、それはボクの趣味の一つだよ」

「召喚の儀って……そういうの黒魔術っていうんですか? まさかお二人は夜な夜なカワイイボクを呼び出そうと魔法の儀式を!?」

「幸子がボクらを怪しい集団と取り違えないよう言っておくと、絵を描くことさ。ボクの場合は漫画だけどね」

「へー……召喚の儀、がですか。うーん」

 蘭子の目を盗み、幸子はこっそりと手帳にメモを残すべく手を動かしている。蘭子がいて都合がいいのか悪いのか解らなくなってきてるな。
 バレそうなものだがそんな幸子に目もくれず、蘭子はボクに期待の眼差しを送ってきていた。そのわけは、まぁ何となく解る。
 蘭子の趣味が絵を描くことなのは知っていた。その絵から歌や衣装のアイデアが生まれることがあるらしく、意を決してプロデューサーに見せた絵を採用してもらったエピソードを語る蘭子はとてもはしゃいでいた。
 趣味が近いと強固な仲間意識が芽生えやすい。それはボクも感じている。
 感じてはいるが……。


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