53:名無しNIPPER[saga]
2016/05/22(日) 00:23:25.83 ID:C7BIXhIso
「あ、戻ってきましたね。さぁプロデューサーさん、飛鳥さんも早く支度してください!」
急かすように帰り支度を促す幸子と、どこか上の空な蘭子がボクらを出迎えた。
「どうした幸子、これから何か用事か? 早く帰りたかったなら待ってなくてよかったんだぞ?」
「ククク、我が友よ。今宵そなたを束縛する鎖が解き放たれているならば、祝宴を開くのもよいと我等で創案していたのだ(プロデューサーが今日は早く帰れるって聞いて、一緒にご飯食べに行きたいなーって話してたんです!)」
「えっと、俺はもう少し仕事残ってるんだけど……」
「なら早く片付けてください! 今すぐに!」
「お、おう。でもどうして急に?」
「フフーン、もうすぐ本番ですからね。景気付けっていうんですか? たまにはこういうことも大事だと思ったまでですよ。あぁ、ボクってなんて冴えてるんでしょう!」
舞い上がっている幸子を見て、蘭子の様子にも合点がいった。
食事、か。もちろんボクのことも頭数に入れているのだろう。
「そんなこと言って、ていよく俺から上手いもん食わせてもらおうって企んでたんだな? 幸子はずる賢いなー」
「ちょっ、どうしてボクだけそうなるんですか!? 蘭子さんはどうなんです!?」
「蘭子はそんな悪巧みなんてしないだろ」
「ボークーもー!! こんなにカワイイボクが悪巧みなんてしませんよ! プロデューサーさんはボクを何だと思ってるんですかぁ!」
「冗談だって、ほらほら。幸子はカワイイカワイイ」
「……そうやって撫でればボクのことは何とでもなると思ってません? 騙されませんよ! でもそれはそれとしてもっと撫でてください! そのままお仕事片付けちゃいましょう!」
「撫でながらは効率悪いな……。っと、俺は飯に連れていくぐらいなら別にいいけど」
プロデューサーは蘭子へ向き直り確認を取る。「愚問!」と蘭子は首肯した。
そして次は、ボクの番だ。
「飛鳥も来てくれるよな?」
「ボクは……」
彼らについていけば、それは楽しい晩餐会となるのだろう。
仕事の外で初めて彼とも親交を重ねられる。何とも魅惑的な誘いだった。
だがボクは……ボクでいなければ。彼が見ているところでは「二宮飛鳥」としての判断を下さなくてはならない。
そうしないと、12時を示そうとする時計の針の音がボクへ迫ってくる気がしたから。
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