過去ログ - 飛鳥「ボクがエクステを外す時」
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60:名無しNIPPER[saga]
2016/05/24(火) 06:37:49.67 ID:ibEATKqeo

「あのね。あの人のことになった時の飛鳥ちゃん、私に似てるなって思ったの」

「……。どう、似てる?」

「そうだなあ。あの人とお喋りしてると凄く楽しそうだったり、あの人の話題になったらたまにぼんやりしてる時とか」

「ま、待った、蘭子。ボク……そんなだった?」

「うん」

 断言されてしまった。
 ……蘭子を隣り合わせになるよう座らせてよかった。顔を合わせられそうにない。

「私にはわかるよ。私も……そうだから」

 蘭子は蘭子でどんな顔をしているのだろう。確認したい気もするが、今のボクにそうする勇気は湧かなかった。
 顔をちょっと覗くだけのことに勇気が必要になろうとは。
 どうしたんだ、ボク。

「私ね、もっとあの人とお話したい。頑張ったら褒められたいし、つらい時は側にいて欲しい。時々だけど、私の言葉が通じなかったりしたら、その、つい、す、拗ねちゃうし」

 むーっ、と頬を膨らませた蘭子をイメージする。とてもしっくりきた。

「飛鳥ちゃんは、どう?」

「えっ?」

「飛鳥ちゃんはあの人にして欲しいこととか、ない?」

「ボクは……」

 望むことならある。
 ボクは彼と、解り合いたい。解り合ううちに彼の知る「二宮飛鳥」ではないボクを、幻滅されやしないか――魔法が解けてしまわないか、恐れもあるけれど。
 して欲しいこと、か。
 欲を言えば、まぁ、その。なくもないけどさ。

「じゃあ、幸子ちゃんのこと羨ましく思ったことは?」

 ここでも幸子が出てくるのか。
 ボクらの密談に幸子は不可欠らしい。でも、今回は心当たりがあった。
 それが羨望であったかは解らない。彼に撫でられている幸子を見て、ボクに異変が起きたのを自覚したのは確かだ。
 あの時の感情は――

「……。ずるいな、幸子は」

 このもやもやとした感情を的確に表す単語が浮かばなくて、前回の蘭子の言葉を借りることにした。
 苦し紛れのつもりが、奇しくも言い得て妙だった。


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