過去ログ - 伊織「あいつと喧嘩した」
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35:名無しNIPPER[sage]
2016/05/05(木) 00:45:16.12 ID:1EMEuCfU0
あいつがあの女の部屋にいる、という想像が働いて、いやなシーンを思い浮かべてしまった。

いけない、そんなことを考えていては。

あの女のところに乗り込もうか。そう考えて、気付いた。

あの女の居場所を私は知らない。

それどころか、名前さえもちゃんと知らない。

顔も知らなければ声を聞いたということもないということに。

「どうもできないじゃないの」

コートのポケットに入れた携帯電話に手が延びる。あいつも携帯電話を持ってでていれば、捕まえる事が出来るはず。

着信履歴の一番上にあるその名前をを押そうとして、でも、押せなかった。

見つけ出して直接謝らないと。

そんな私の意地がためらいを大きくして、私は携帯を再びポケットの中に落し込んだ。


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