過去ログ - 島村卯月「背伸びと立ち位置」 -SS速報VIP

過去ログ - 島村卯月「背伸びと立ち位置」

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6: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2016/05/07(土) 20:30:54.97 ID:aCNDeK610

「今日は2人とも、レッスンですか？」

「ええ！　今はダンスレッスンを重点的にやっているところです！　まあ、カワイイボクにかかればすぐですけどね！」

7: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2016/05/07(土) 20:31:32.82 ID:aCNDeK610

――――――――――

その日の夜、卯月は自室の机に向かって、ノートを書いていた。

8: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2016/05/07(土) 20:32:19.29 ID:aCNDeK610

「あれ？　しまむー、なんか眠そうだね？」

ある日、レッスン場に行く途中、本田未央がすれ違いざまに声をかけてきた。

9: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2016/05/07(土) 20:32:50.22 ID:aCNDeK610

その日午前のレッスンは滞りなく終わった。体は軽く、ステップの音が自分で心地よい。
午後からは雑誌の取材が入っていたが、これも笑顔で終わらせることができた。

10: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2016/05/07(土) 20:33:23.66 ID:aCNDeK610

「え……？」

幸子の顔に、正確には目の下に、涙の跡。

11: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2016/05/07(土) 20:33:51.22 ID:aCNDeK610

「んん……」

あくびともうめき声とも聞こえる音を上げて幸子が目を覚ましたのは、時計の長針が3週ほどした頃か。

12: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2016/05/07(土) 20:34:22.04 ID:aCNDeK610

「今日のレッスン、うまくいかなかったんですよね？」

「……」

13: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2016/05/07(土) 20:34:57.37 ID:aCNDeK610

「私、寝てる幸子ちゃんを見て、ちょっと見とれちゃいました」

「あ、ありがとうございます」

14: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2016/05/07(土) 20:35:23.89 ID:aCNDeK610

珍しく丸くなっていた幸子の背中が、いつもの自信を取り戻す。

「だから、こんなとこで立ち止まっちゃダメです！」

15: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2016/05/07(土) 20:35:57.08 ID:aCNDeK610

涙には触れない。
プライドの高い幸子のことだ。弱みを見せたことは肯定し難いだろうから。

16: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2016/05/07(土) 20:36:23.89 ID:aCNDeK610

幸子の翌日のレッスンは、とても良い出来だったらしい、というウワサが耳に入った。

後輩が褒められた時の卯月は、もしかしたら自分が褒められた時よりも嬉しいのでは？

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