過去ログ - 佐久間まゆ「白くて苦い……」一ノ瀬志希「Love Potion♪」森久保乃々「えっ」
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11: ◆Freege5emM[saga]
2016/05/08(日) 16:59:04.27 ID:U0MqyOlxo


寮室で、もりくぼと、まゆさんと、志希さんの三人は、正三角形を描くように座りました。
もりくぼは自分の座布団の上、まゆさんと志希さんは敷きっぱなしの布団の上でした。

まゆさんは、寝乱れた髪にクシを入れて整え、
ぐしゃぐしゃだった左手首の紅いリボンを、新しいものに替えて結び直していました。
それでも落ち着かないのか、結び目を右手でいじりまわしています。

志希さんは、肩ひものズレ落ちそうなタンクトップに、
太もももあらわなホットパンツ……とてもラフな格好です。
その上から、白さのまぶしい白衣を羽織っています……なんでこの人、白衣なんて着ているんでしょうか?



「もりくぼちゃん。あたし、まゆちゃんと込み入ったハナシがあるんだ。
 外で時間つぶしてきてくれないかなぁ。できれば半日ぐらい」

志希さんは白衣のポケットから、紙を挟んだクリップを取り出しました。
よく見ると挟まれているのは、何枚か重なったまま二つ折りにされた千円札でした。

「もりくぼがいたら、できない話ですか……?」
「あたしと、まゆちゃんと、そのプロデューサーに関わるコトなんだよ。
 もりくぼちゃんは、確か担当のヒト別でしょ。席、外して欲しいんだけど」

志希さんがクリップを開こうとするのを、横からまゆさんが手ぶりで止めました。

「……乃々ちゃんは、もう知ってるので……」
「ふーん。そっか」

志希さんは、お葬式みたいな空気のもりくぼとまゆさんの間で、
じれったそうに体を揺すっていました。



「まゆちゃんが、プロデューサーをスキだってコトは、あたし、けっこう前から知ってたよ。
 その『スキ』が、ビジネスよりもっと深〜いべったりしたものだってのも、ね」

もりくぼがまゆさんの顔を見ると、まゆさんは黙ってこくりとうなずきました。

「だから、まゆちゃんが告白しようってとき、どーんと背中を押しちゃった」

……何言ってるんですか、この人。



「し、志希さんは……なんで、そこでまゆさんの背中を押しちゃったんですか……?」
「ん? まゆちゃんが告白したら、プロデューサー、絶対オーケーすると思ってたんだもん」
「いや、そこでオーケーしたら、その……」

志希さんはもりくぼの顔を見ながら首をかしげていました。
この人、本当に先輩アイドルなんでしょうか……。

「あ……アイドルは恋愛しちゃいけないってお約束ですよね……?
 事務所側の人がそれを堂々と破るのは、いかがなものかと……」

もりくぼの言葉に、まゆさんはびくりと肩を震わせました。
……生意気にも、責めてるような言い方になってしまったからでしょうか。

「志希さんが、なにゆえ『絶対オーケーすると思ってた』のかは、知りませんけど……
 現にプロデューサーさんは、まゆさんの告白を断っています……
 それは、もりくぼが言ったようなことを考えたからなのでは……?」
「なるほど。で、まゆちゃんは?」

まゆさんは、紅いリボンをぎりぎりと引っ張っていました。
締め上げられた左手から血の気が引いていたので、もりくぼは慌ててまゆさんを止めました。




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