過去ログ - 佐久間まゆ「白くて苦い……」一ノ瀬志希「Love Potion♪」森久保乃々「えっ」
1- 20
13: ◆Freege5emM[saga]
2016/05/08(日) 17:01:31.64 ID:U0MqyOlxo


志希さんはともかく、まゆさんも重症です……。
好きな人のために、できることをなんでも……それが喜びだって語ってくれた、あのまゆさんが。

こんな得体の知れないシロモノにすがるなんて、
信じられないです。何かがおかしいです。

「今のまゆさんに必要なのは、惚れ薬なんかじゃなく、ゆっくり休むことです……。
 幸いプロデューサーさんは、しばらくしのぐと言ってましたし……」

まゆさんは、今はプロデューサーさんから突き放されたのが堪えていますけれど、
本来は立派なアイドルだって、もりくぼ――あと、まゆさん担当のプロデューサーさん――は知ってます。

「まゆさんは、失恋で少し弱ってるだけ……休めば、元気になってくれるはずなんです」
「もりくぼちゃん、まゆちゃんをずいぶん買ってるんだねぇ」

少なくとも、惚れ薬なんてズルは、まゆさんに似合いません……。



志希さんのつぶやきのあと、沈黙が寮室にのしかかりました。
もりくぼがその息苦しさに耐えていると、不意に志希さんがすっくと立ち上がりました。

このまま帰ってくれないかなぁ……という願いもむなしく、
志希さんは電気ケトルに水をくんで、お湯を沸かし始めました。

「あれぇ、ここ、インスタントコーヒーも無いの?」
「緑茶か、紅茶ならありますけど……」
「ミルクある?」
「……いいえ」
「そ。ま、いいや。飲めれば」



志希さんは、不揃いのカップ3つに、湯気を立てた紅茶を満たして、
両手で3つのカップを器用に持って近づいてきました。

「惚れ薬、まゆちゃんに今すぐムリヤリ使えーってコトは言わないよ。
 あたしは薬の製作者としての責任があるから、軽々しい扱いはNG。
 どんな薬にだって副作用はあるし……と、いうことで」

カップからは、ティーバッグを直接嗅いだような濃い匂いがあふれていました。
買い置きのティーバッグしかないはずなんですけど、淹れる人でこんなに変わるのでしょうか……。

「もりくぼちゃんの言うことも一理あるし、ここらでちょっとティーブレイクはいかが?
 そのついでに、まゆちゃんとプロデューサーとの今までのコト、最初から話してみよう。
 思い出しながら言葉にしてみたら、気持ちが整理できて、少しは落ち着くって」

志希さんはカップの一つを手に取り、
紅茶がこぼれかけるほどの勢いでふぅふぅと息を吹きかけました。
湯気に乗った紅茶のフレーバーが、一気に広がっていきます。



もりくぼは迷いました。
志希さんが来て、少し調子を取り戻しつつあるとはいえ……
今のまゆさんから、プロデューサーさんについて話を聞き出していいんでしょうか。

「志希さんが来るなら……コーヒー、用意しておけば良かったですね」
「まゆちゃん、コーヒー飲めなかったっけ?
 前は、仕事が上手く行かなかった時とか、あたしとまゆちゃんで、
 何か飲みながらダラダラよく喋ってたよねぇ」

もりくぼは、志希さんの提案へ乗ることにしました。

志希さんの言うことですが、この提案については妥当です……。
言葉にして誰かに話せば気持ちが軽くなる、というのはよく聞く話ですし……。

それに、もりくぼが知らないまゆさんのことを聞けるかも……

そう、反対する理由はないんです……。



「あ。まゆちゃんともりくぼちゃん、朝ごはん食べた?
 あたし、今日まだ何も食べてなくて……ちょっとコンビニ行って何か買ってくるよー」
「……寮の人に頼んで、何か貰ってきます……」

反対する理由は、ない……はず、なんですけど……。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
64Res/90.72 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice